生理痛(月経痛)に効く薬の飲み方・選び方

生理痛が重くなりがちな女性にとって、毎月訪れる生理期間は悩みの種です。生理痛のつらい痛みには鎮痛薬の服用が有効です。
本コンテンツでは生理痛に効く薬についての基礎知識や、選び方のポイントなどを紹介します。
生理痛(月経痛)の鎮痛薬|基本知識
毎月のことだから、生理の期間は少しでも楽に過ごしたいもの。生理痛がつらいときは、鎮痛薬を利用するのも1つの方法です。
「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)」とは
生理痛や頭痛に使用する鎮痛薬は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)といって、痛みの原因となるプロスタグランジンの生成をおさえ、痛みを和らげる効果が期待できます。解熱作用もあることから、解熱鎮痛薬とも呼ばれており、成分によってさまざまな種類が市販されています。
有効成分「イブプロフェン」とは
イブプロフェンは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)にあたる有効成分のうちの一種です。
痛みや熱のもとになる、原因物質プロスタグランジンが体内で生成されることをおさえる働きをもち、また抗炎症作用もあります。
NSAIDsの中でも比較的、胃腸障害の副作用が少ない点が特長です。もともとは病院で処方される薬(医療用医薬品)として開発された成分であり、日本では1985年からOTC医薬品(市販薬のことを指します)としても販売されています。
有効成分「ロキソプロフェンナトリウム水和物」とは
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)にあたる有効成分のうちの一種です。プロスタグランジンの生成を抑制し、解熱、鎮痛と抗炎症の作用をもたらします。生理痛や頭痛など、さまざまな症状に用いられます。
有効成分「アスピリン(アセチルサリチル酸)」とは
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)にあたる有効成分のうちの一種です。鎮痛作用や解熱作用、抗炎症作用といった働きももっています。
プロスタグランジンが関係すると考えられる頭痛や筋肉痛にも使われています。
有効成分「エテンザミド」とは
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)にあたる有効成分のうちの一種です。抗炎症作用と鎮痛作用をあわせもつ解熱鎮痛薬ですが、ほかの解熱鏡痛成分との配合によって相乗効果が期待されるため、医薬品としては単独で使われるケースは少なく、イブプロフェン(NSAIDs)やアセトアミノフェン(NSAIDsではない成分)などと組み合わせて使われることが一般的です。
また、アスピリン(アセチルサリチル酸)と比較して胃腸障害は弱いと考えられています。
有効成分「イソプロピルアンチピリン」とは
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)にあたる有効成分のうちの一種です。プロスタグランジンの生成をおさえる働きがあり、比較的強い解熱作用、鎮痛作用をもちます。
注意点として、イソプロピルアンチピリンは「ピリン系」に分類される成分でもあるため、人によっては“ピリン疹”と呼ばれる薬疹を発症する場合が考えられます。過去に同じ成分を使用してピリン疹がでたことのある人は、服用前に医師や薬剤師へ相談しましょう。
NSAIDsではない有効成分「アセトアミノフェン」とは
生理痛や頭痛に使用する解熱鎮痛薬の有効成分として、アセトアミノフェンもあります。アセトアミノフェンはNSAIDsとは異なり中枢神経で作用し、解熱、鎮痛への効果を発揮します。生理痛への適応もあり、生理痛の緩和にも有効です。
アセトアミノフェンはNSAIDsにあたる有効成分よりも比較的、胃腸障害が起きにくい性質をもっているため、胃が弱りやすい人の選択肢にもなります。また、小学生や中学生の生理痛の場合にも、7才以上から服用が認められているアセトアミノフェンを主成分とする市販薬が一般的に用いられます。
鎮痛薬以外の生理痛(月経痛)緩和に期待できる薬
生理痛の痛みの緩和には解熱鎮痛薬の服用が一般的ですが、例えば「長期的にみて、生理痛の軽い体質に改善していきたい」といった理由で、漢方薬を服用する人もいます。
生理痛(月経痛)の鎮痛薬を飲むときのポイント
生理痛の鎮痛薬として非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を服用する際のポイントは、痛みを我慢しないことです。痛みを感じはじめたときに早めに服用するのが効果的です。プロスタグランジンの生成が早くおさえられ、効果が得られやすくなります。
痛みをぎりぎりまで我慢してからだと、プロスタグランジンがすでに大量に生成された状態であるため、効果があらわれにくくなってしまいます。すぐに服用できるよう、外出するときは鎮痛薬を持ち歩いておくと安心です。ただし鎮痛薬を飲んでも痛みが引かない場合は、婦人科などの医療機関を受診してください。
生理痛(月経痛)の鎮痛薬を選ぶときのポイント
生理痛の中でも、特に頭痛がひどいと感じる際には、片頭痛が起こっている可能性があります。この場合には医師や薬剤師に相談しつつ、必要に応じて片頭痛向けの解熱鎮痛薬を選びましょう。
生理痛(月経痛)の鎮痛薬 Q&A
生理痛の際の鎮痛薬服用について、よくある質問の中から代表的なものを回答とともにご紹介します。次の「鎮痛薬のはなし|痛みのはなし」のページとあわせてご参考ください。
Q.眠くなりにくい鎮痛薬はありますか?
A.鎮痛薬にはさまざまな種類があり、鎮静成分が入っているものと入っていないものがあります。
鎮静成分が含まれる鎮痛薬は服用後に眠気を催すことがあるため、眠くなりにくいものが必要な際には、鎮静成分が入っていない鎮痛薬を選んでください。
Q.生理痛に効果がある場合、生理期間中、市販の解熱鎮痛薬を飲み続けても問題ないですか?
A.長期連用は避けてください。薬ごとに定められた用法用量や使用上の注意を守り、症状がつらい月経期間中(3~5日間程度)の短期間にとどめてください。
Q.鎮痛薬での対処ではなく病院にいったほうがよいのはどんなときですか?
A.生理痛の症状が重いとき、鎮痛薬を複数回飲んでも痛みが緩和されない(以前は効いていたのに、同じ薬で効かなくなった)、経血での出血量が著しく多い、などの場合には、婦人科などの医療機関の受診をおすすめします。
「鎮痛薬」に不安を感じる、という人へ
「病気でもないのに薬を飲むのは不安」「鎮痛薬を飲み続けていると、効かなくなる」
そういう思いから、痛みをぎりぎりまで我慢していませんか?
鎮痛薬は、体質に合わないといった場合を除き、用法・用量や使用上の注意を守りながら服用すれば、生理痛がもたらす心身への負担を軽減できます。鎮痛薬を上手に活用し、痛みを自分でケアしながら、毎月訪れる生理期間を快適に過ごしましょう。

「イブプロフェン」って何?
鎮痛薬に含まれる鎮痛成分の名前です。痛みの原因であるプロスタグランジンの生成を抑え、すばやくすぐれた効き目をあらわす「非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)」の一種で、胃腸障害の副作用が比較的少ないのが特長です。もともとは病院で処方される医療用医薬品として開発された成分ですが、日本では1985年から、OTC医薬品として販売されています。
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