ビンが流れている様子
中間製品試験を無事通過した錠剤が、いよいよパッケージ製品化の作業ラインに運ばれてきます。容器への充填、製品としての最終包装まで、機械による自動作業です。ハイチオールCプラスやエスタックイブなどビン詰めの製品の場合、1分間に120本のペースで製品化されます。
ビンのエアー洗浄
ラインの出発点で、作業員がベルトコンベアに真新しい空ビンを載せていきます。100本以上のひとかたまりをまとめて台に乗せると、カチャ、カチャという小さなガラス音とともに機械で1列に並べられ、安定したペースでラインに入っていきます。ビンはこの直後、空気を高速で吹き付けるエアー洗浄を受けます。
コンベアで運ばれてきたビンに向けて、新しい錠剤をセットした充填用機械が、約20本分一気に錠剤を詰めます。詰め込み工程は2レーンあり、片方のレーンで錠剤を補充する間、もう片方がビンを流し込む作業をやり、これを交互に繰り返して効率的に製品を作っていきます。スタッフも一部資材の充填などをしながら、異常がないか目を光らせます。ビン詰めの製品ではないブリスター製品の場合は、ブリスターシートに検査済みの錠剤やカプセルを高速充填し、アルミ箔で密封包装します。その後、専用ロボットがピロー包装品をコンベアに自動搬送していきます。
ビンに製品ラベルを貼る作業や、外装箱へのビンの挿入、添付文書(薬の取扱説明書)の封入もこのラインの途中で行います。高速撮影するデジタルカメラや添付文書についているバーコードリーダーのチェックで、1個1個、間違いのないものが封入されているか検査します。そして、ラインの最終段階でラップ包装したものを必ず人の目で確認します。こうして包装が終了した製品は、運搬用のプレートに積んでいきます。
充填・パッケージング
カメラチェック
ラップ包装後のチェック
錠剤などの薬を包装する製品のパッケージや封入する添付文書など、製品にかかわる文字という文字は、医薬品医療機器等法等によって記載方法が定められており、エスエス製薬ではすべて薬剤師がチェックしています。説明書の原稿をつくっているのも薬剤師。有効成分、効能・効果、用法・用量などは国からの承認どおりですが、製品特徴をどんな言葉で表現するか、書面のデザインをどうするか、担当部署の裁量は小さくありません。
効能を大げさにうたうような言葉は医薬品医療機器等法で禁じられていますが、製品の良さもわかりやすく伝えなければならず、社内では製品ごとに白熱の議論が行われているのです。
薬の表示は正確さが命です。誤字1字でもあれば市場から製品を回収しなければならず、誤りがないかどうか二重、三重のチェック体制を敷いています。原稿を作る部内で必ず複数のスタッフが目を通し、さらに行政・法律の専門部署でも精査します。
医薬品医療機器等法周辺法規や通知等の細かな改訂は毎月のようにあり、表示にどう関わるのか、担当部署は情報収集、勉強が欠かせません。5年、10年とこの部門で専門家としてキャリアを重ねている社員も多く、皆で教え合う雰囲気もあります。ときには、たった1つの表現をめぐって行政機関に是非の確認に出向くこともあります。万全を期す、その労を惜しむことはありません。
製品に同梱される説明書(添付文書)について見てみましょう。2008年末から一部製品で、添付文書のデザインを新しくしました。薬の説明書といえば文字がぎっしり詰まって読みづらい印象があるかもしれません。ですが、新しい添付文書は以前と同じ情報量を保ちながら、小さくてもはっきり目に入る書体を採用しました。また書面に使う色を増やしてメリハリをつけ、レイアウトの工夫で行間に余裕を持たせたことで、字を追いやすくなりました。かねてお客様からいただいていた「添付文書が読みづらい」とのご指摘に対応したものです。
私たちは、使用説明などの表示も、品質の重要な1要素と考えています。お客様に安全に製品を使っていただくために、必要な情報が伝わりやすい表現を追求する責務があるからです。
スルーラック:色やレイアウト、行間など見やすさを改善しました。
スルーラック:「用法・用量」の「服用しないこと」に×を大きく表示し、わかりやすくしました。