ドラム
工場の一角で、巨大な銀色の缶のように見える直径70センチ程の原料輸送ドラムが並び、出番を待っています。原材料はこの後、機械で量られ、自動作業で処理されていきます。製剤(薬の形につくる)工程の多くは最新の機械設備による自動生産ですが、重要な工程では人間による検査を実施し、徹底した品質管理を行っています。
正確に計量された原料は、「練合造粒(れんごうぞうりゅう)」の工程に進みます。造粒装置の内部では、原料の粉がふきあがりながら回転しています。そこに液剤を 加えて湿り気をあたえ、遠心力を利用して薬の成分となる粒を製造していきます。取り出した粒は、2メートル以上もある大きな円柱型の乾燥機にいれた後、さらに形状を整えていきます。こうしてできた原料の粒を、それぞれの薬の設計書に合わせた配合で、混ぜ合わせていきます。目を引くのは、この原料同士を混ぜ合わせる巨大なV字型の混合機です。高さ約3メートルの機械の中心部で巨大なV字ドラムが回転する様子は圧巻。10分強回転させると、粉がムラなく混ざって出てきます。
練合造粒
流動層乾燥
混合
薬の設計書に沿って混合された粒を、型にはめて圧縮し、おなじみの錠剤の形に加工します。この工程を「打錠」といいます。その数は1日で約300〜350万錠という猛スピードです。
打錠
写真左:白色繋服 (製造室内)
写真右:製造室出入口マット
製造棟に立ち入る人は全員、手洗いはもちろんのこと、専用の衣服に着替えなければなりません。上下つなぎの真っ白な作業着をベースに、専用靴、ヘアーキャップ、マスクなどで全身を覆い、外からの雑菌が棟内で広がるのを防ぎます。
「バリッ」。乾いた音が時折小さく響くのは、製造棟にある各作業室の、入り口の床です。粘着テープが貼ってあり、靴についた塵でさえも許しません。