肩こり痛の種類と原因
ひとことに「肩こり痛」と言っても、
生活習慣によるものから内臓疾患に
至るものまで、原因や種類は
さまざまです。
監修:西田 圭一郎先生
(岡山大学学術研究院医歯薬学域 整形外科 准教授)
肩こり(肩こり痛)とは?
首から肩・背中にかけての筋肉がこわばり、だるさ、重さ、疲労感、ときに痛みを感じる症状が肩こり(肩こり痛)です。関係する筋肉はいろいろありますが、首の後ろから肩、背中にかけて張っている僧帽筋という幅の広い筋肉がその中心となります。
肩こり痛が起きる理由
私たちの肩には、腕や肩甲骨に加え約6~7キロもある頭部の重さがのしかかっています。つまり、肩の筋肉に負担がかかりやすい構造になっているのです。特に日本人は、欧米人に比べて筋肉量が少ないために筋肉への負担が大きくなり、肩こり痛を起こしやすいともいわれています。
さらに、長時間同じ姿勢を続けたり、精神的ストレスを抱えているなどの条件が加わると、肩の筋肉が緊張して血液の流れが悪くなり、疲労物質がたまったり、ビタミンの補給がうまくいかなくなったりします。その結果、筋肉がこわばって肩こり痛が生じるのです。
肩こり痛の症状
首のつけ根から肩・背中にかけて、張っている感じや痛みなどが出ます。「頭痛」「めまい」「吐き気」「集中力低下」「目の疲れ」「倦怠感」「腕や手のしびれ」なども、肩こり(肩こり痛)から生じる症状として現れることがあります。
肩こり痛の種類と原因
肩こり痛の原因は日常生活の習慣にある場合が多いのですが、なかには深刻な病気の症状として現れるケースもあるので注意が必要です。自分はどれに当てはまるのかを確認し、適切な対策を見つけましょう。
日常生活が原因の肩こり痛
肩こり痛を引き起こすもっとも大きな要因といわれているのが、姿勢の悪さ、運動不足、ストレス、眼精疲労といった、日常生活の習慣から生まれるものです。気づかぬうちに、血行不良や筋肉減少、自律神経のバランスの乱れを招くようなライフスタイルを送ってしまっていることで肩こり痛が起きているのです。
生活習慣を見直すことで、解消・緩和が見込めます。
病気が原因の肩こり痛
病気が原因となって起こる肩こり痛の場合、医療機関での診察が必要です。
思い当たる場合は、速やかに医師に相談しましょう。
肩や関節の異常が原因の肩こり痛
肩や関節に何らかの異常があって肩こり痛が生じる場合があります。
例えば「五十肩(肩関節周囲炎)」は、肩関節の周りの組織に炎症が生じることによる病気です。通常の肩こり痛とは異なり、肩の関節を動かすことで激しい痛みが生じます。
また「腱板断裂」は、上腕の骨と肩甲骨とをつなぐ腱が切れてしまった状態で、肩に強い痛みを感じます。首や肩の骨が原因の肩こり痛
「頚椎症」や「椎間板ヘルニア」などの首や背中の病気の症状として、肩こり痛が現れていることがあります。「頸椎症」の場合、症状が進むと後頭部の痛みや手足の重圧感、脱力感、マヒなどの重い症状が現れます。
「椎間板ヘルニア」の場合は、首を後ろに反らすと激しい痛みが生じます。また背中や腕、指先にもしびれや重圧感といった症状が現れます。内臓疾患が原因の肩こり痛
内科系の病気が原因となって起きる肩こり痛もあります。この場合、肩以外の部位にも痛みや違和感などの症状が出ます。例えば「脳動脈瘤」であれば、頭痛やめまい・吐き気などの症状を、「狭心症」や「心筋梗塞」の場合には、左胸の他、左肩や左腕、胸背部にも強い痛みを伴うことがあります。他には、「糖尿病」「高血圧」「胆石症」などが肩こり痛の症状を伴う病気の例です。
監修:西田 圭一郎先生
(岡山大学学術研究院医歯薬学域 整形外科 准教授)
日本整形外科学会代議員・認定専門医、認定リウマチ医、脊髄脊椎病医、認定運動器リハビリテーション医、研修指導者、日本手外科学会副理事長、認定手外科指導医・専門医、日本リウマチ学会専門医・指導医、日本臨床リウマチ学会理事、日本関節病学会理事、認定関節病専門医、日本リハビリテーション医学会認定臨床医、厚生労働省卒後臨床研修指導医。
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