つらい風邪の鼻症状、なぜ起こるの?
原因や対処方法を解説

Symptoms - rhinitis
内田直樹(うちだなおき)先生
監修:内田直樹(うちだなおき)先生

昭和大学医学部 薬理学講座 臨床薬理学部門 教授
昭和大学卒。2014年4月より現職
日本臨床薬理学会 指導医・専門医

風邪を引くとほとんどの人であらわれる、くしゃみ、鼻水、鼻づまり。風邪ではおなじみの鼻症状ですが、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎といった他の病気でもあらわれます。鼻症状のメカニズムと、風邪による鼻症状への対処法をご紹介します。


風邪のときの鼻症状が起こるのは
なぜ?

風邪で鼻症状が出る原因

風邪は原因となるウイルスなどが鼻やのどの粘膜に付着(感染)することで始まります。
鼻の粘膜にウイルスが感染すると、ウイルスと戦い排除するために免疫細胞が活性化してサイトカインという炎症物質を放出します。この炎症物質が鼻の粘膜で炎症を起こすことで、くしゃみや鼻水、鼻づまりなどの鼻症状が起こるのです。
通常、鼻の粘膜はつねに粘液や水分、抗体などを分泌することで表面を覆い、ほこりや細菌・ウイルスなどの異物の侵入を防いでいます。鼻症状は不快ですが、ウイルス感染により低下した粘膜のバリア機能の回復を促し、ウイルスの排除を助けていると考えられています。

風邪で鼻症状が出る原因のイメージ図

鼻づまり、鼻水はどうして
起こるの?

鼻水のメカニズム

ウイルス感染などにより鼻の粘膜で炎症が起きてサイトカインという炎症物質が放出されると、粘膜の神経が刺激を受けて、粘液・水分を分泌させる指令を出したり、粘膜の細い血管に作用して漏れ出る水分(漏出液)を増やしたりします。また、サイトカインの働きにより放出されるヒスタミンは神経を介さずに血管からの漏出液を増やすこともします。
このように、炎症物質の刺激によって、粘液層を作る粘液・水分や漏出液が過剰に増えた結果、鼻水として流れ出てくるのです。同時に、刺激を受けた神経からの作用でくしゃみがあらわれることもあります。

炎症物質により鼻粘膜の粘液や水分の分泌が増えて鼻水に

炎症物質により鼻粘膜の粘液や水分の分泌が増えて鼻水になるイメージ図

鼻づまりのメカニズム

鼻の穴(鼻腔)は、入り組んだトンネルのように狭く複雑な形をしていて、内側は粘膜に覆われています。 ウイルス感染などの炎症により放出されたヒスタミンは、鼻粘膜の細い血管に作用し、血管の隙間から周りへ水分が漏れ出るのを増やすとともに、血管を大きく広げます。すると鼻粘膜が腫れた状態になり、狭い鼻腔をふさいでしまうことで鼻づまりを引き起こすのです。この時、別の炎症物質であるロイコトリエンもヒスタミンと同様に鼻づまりの原因になります。
風邪のときの鼻づまりは、過剰な鼻水が鼻腔にたまったことで起こると思われがちですが、実は、鼻粘膜の腫れが大きく影響しています。鼻粘膜の腫れで鼻腔が狭くなることにより、鼻水で空気の流れが妨げられやすくなります。

鼻の中の構造

鼻の中の構造のイメージ図

鼻粘膜の腫れが鼻づまりを引き起こす

鼻粘膜の腫れが鼻づまりを引き起こすイメージ図

鼻の症状が出はじめるのは
どういうとき?

鼻症状が出るのはどういうときか

くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの鼻症状は、鼻粘膜に炎症が起きているときにあらわれます。鼻粘膜に炎症が起きる原因としては、細菌やウイルスなどの感染、アレルギーなどによる過敏反応が考えられます。風邪を引いて鼻症状があらわれるのは、鼻粘膜に感染したウイルスを排除するために炎症が起きているからです。
一方で、鼻粘膜に炎症が起きていなくても、冷たい空気による刺激で鼻水が出たり、香辛料などの刺激物によってくしゃみが出たりすることもあります。

風邪をひいてから鼻症状があらわれる
順番

風邪の引き始めには、のどの痛みや発熱・頭痛に前後して、鼻症状がよくあらわれます。鼻症状のあらわれ方はウイルスの種類や個人差などによってさまざまですが、くしゃみが先にあらわれ、続いて鼻水や鼻づまりが始まるという方が多いことでしょう。風邪による鼻水は、最初はさらさらと水っぽく、次第にドロッとした濃さに変わっていきます。


風邪による鼻症状の対処法は?

市販薬での鼻症状のセルフケア

風邪による鼻症状は、炎症により放出された炎症物質が鼻粘膜の神経や血管に作用することで引き起こされます。市販の風邪薬には、炎症物質の働きを抑えたり神経に作用したりする成分が配合され、くしゃみや鼻水、鼻づまりに効果を発揮します。
鼻炎薬にも同じ働きをする成分が含まれていますが、風邪薬には発熱、のどの痛み、頭痛や咳など他の風邪症状に対応する成分も配合されていますので、ご自身の症状に合わせて選ぶとよいでしょう。

市販薬に含まれる鼻症状を和らげる成分

抗ヒスタミン薬
:クロルフェニラミンマレイン酸塩、
クレマスチンフマル酸塩など
くしゃみ、鼻水、鼻づまりを引き起こす
ヒスタミンの作用を抑える。
抗コリン薬
(副交感神経遮断薬)

:ヨウ化イソプロパミド、
ベラドンナ総アルカロイドなど
鼻水を分泌させる神経伝達物質の
作用を抑える。
交感神経刺激薬
:プソイドエフェドリン塩酸塩、
フェニレフリン塩酸塩など
神経に作用して、鼻粘膜の血管を
収縮させ鼻づまりを和らげる。

市販薬を服用するときの注意点として、他の薬を服用している方、持病のある方、妊娠中の方、その他に心配なことがある方は医師、薬剤師や登録販売者に相談することも大切です。また、市販薬を服用しても鼻症状が長引く場合は、原因を調べて適切な治療を受けるために、必ず医療機関を受診するようにしましょう。

自分でできる、風邪による鼻症状の
対処法

風邪のときは、栄養のある食事と水分補給、部屋の加湿といった基本的なケアのほか、鼻症状を和らげるための下記の対処法もおすすめです。

  • 蒸しタオルで鼻を温める、暖かい蒸気を吸う
    温めることで鼻粘膜の腫れがひいて鼻づまりが和らぐことがあります。お風呂に入って温めるのもよいでしょう。
  • 鼻の位置を高くして休む
    鼻づまりがあるときに横になって休むと、下になっていた方の側の鼻では鼻づまりが悪化することがあります。鼻の位置を高くしたほうが鼻粘膜の腫れが軽くなると考えられています。つらい鼻づまりを和らげるために、枕などで上半身をやや高くして休むことも検討してみましょう。

鼻症状が長引くときは早めに受診を

風邪による鼻水と鼻づまりは引き始めの2~3日が最もひどく、徐々に軽快していきますが、1週間以上たっても続いているときは、副鼻腔炎を起こしている可能性があります。
副鼻腔炎は、鼻腔の周りにある副鼻腔に炎症が起きている状態で、濃い鼻水と鼻づまりが長引くほか、額、頬、鼻の周りの痛みや頭痛、重い感じなどがあらわれます。風邪がいったん落ち着いたころに、鼻症状や痛み、発熱が悪化しはじめた場合には、副鼻腔に細菌感染を起こしている可能性もあります。
鼻症状は不快であるだけでなく、のどへ流れる鼻水で咳が出たり、鼻づまりによる口呼吸でのどの炎症が悪化するなど、他の体調不良も起こしやすくします。くしゃみ、鼻水、鼻づまりといった鼻症状が長引くときは、風邪だからと油断せずに、早めに耳鼻咽喉科で診察を受けるようにしましょう。


鼻の正しいかみ方や鼻うがい方法

正しいかみ方

鼻水には、ウイルスや細菌のほか、症状を悪化させる炎症物質なども含まれているため、鼻症状を軽減して早く治すためには、鼻をかんで取り除くことが大切です。鼻をかむときは、一気に両方かむと鼻や耳を傷める原因となるため、片方ずつ静かにかみます。鼻づまりがひどく鼻もかめないような場合には、耳鼻咽喉科で鼻水を吸引してもらってもよいでしょう。
小さな子どもが鼻をすする行為は中耳炎を起こしやすくしてしまうので、できれば避け、こまめに鼻水を拭いてあげましょう。鼻のかみ方を少しずつ練習することで3歳ころから自分でも鼻をかめるようになります。
鼻をかめない赤ちゃんや小さな子どもには、市販の吸引器を使った鼻水の吸引もおすすめです。使いやすいシンプルな鼻水吸引器を選び、無理せず鼻の入り口を吸い出す程度にとどめましょう。

正しい鼻のかみ方

  1. 1. 片方の鼻の穴を指で押さえてふさぐ
  2. 2. 大きく息を吸って
  3. 3. 口を閉じて、ゆっくり少しずつ鼻から空気を出す
  4. 4. 鼻水を拭き取って、反対側の鼻も同様に

鼻うがいの正しいやり方

鼻うがいは、もとはアーユルヴェーダで行われていた健康法で、風邪による鼻水や鼻づまりなどの鼻症状を和らげるのに有効である可能性が示されています。鼻うがいでは、洗浄水を鼻の中に流し込み鼻水を洗い流します。鼻に水を入れるのは勇気がいりますが、鼻うがいでは洗浄水として体の浸透圧と近い生理食塩水を使うため、正しく行えばツーンと痛くなることは少ないです。最初は慣れないかもしれませんが、上手くできるようになると、鼻がとてもすっきりします。
市販されている鼻うがい用の洗浄器や洗浄液を利用してもよいでしょう。
ここでは、家にあるものでできる鼻うがいの方法をご紹介します。

鼻うがいの方法

  • 生理食塩水(0.9%の食塩水)と鼻うがい用ポットを用意します。
    • ・ポットは、小さな急須のような形をした鼻うがい専用ポットのほか、介護用の吸い飲み器やドレッシングに使うような細いノズルの付いた清潔なボトルで代用できます。
    • ・生理食塩水は、ぬるま湯に食塩を溶かして作ります(一度沸騰させて冷ましたお湯100mlに食塩0.9gまたは、500mlに4.5g)。
    • ・1回分100mlほどをポットに入れます。
  • 洗面台に身をのり出すようにするか、洗面器などを顔の下に置いておきます。
  • 下を向いて、ポットの注ぎ口を片方の鼻の穴にあてます。
    • ・注ぎ口は鼻の奥にはいれずに、入り口にとどめます。
  • 注ぎ口をあてた鼻が上側になるよう、そのまま頭を横向きに傾け、ポットを持ち上げて生理食塩水をゆっくり流し込みます。
    • ・このとき鼻では呼吸せず、口呼吸をするようにします。
    • ・「エー」と言いながら行うと、むせにくくなります。
    • ・のどに流れた洗浄水は、飲み込まずに吐き出します。
  • 洗浄水は下側の鼻から出てくるので、流し終わった後に鼻から軽く吹き出すようにして拭き取ります。
    • ・反対側の鼻も同様に行います。くり返すときは一度に2~3回まで。
    • ・残った生理食塩水は捨て、次回は新しいものを使います。
鼻うがいのイメージ図

風邪以外での鼻症状が出る
原因について

アレルギー性鼻炎

くしゃみ、鼻水、鼻づまりの鼻症状はアレルギー性鼻炎でもあらわれます。アレルギー性鼻炎は、花粉やハウスダストなどのアレルゲンに体が過敏に反応して粘膜に炎症が起こることで発症します。アレルゲンが鼻粘膜に触れると何度も立て続けにくしゃみが出たり、水っぽい鼻水や鼻づまりがいつまでも続いたりします。花粉が原因で起こるアレルギー性鼻炎を花粉症と呼びます。目のかゆみ、のどのイガイガした痛みやかゆみ、咳を伴うこともあり、風邪によるもの見分けがつきにくいため、鼻症状が長引いている場合には耳鼻咽喉科で医師の診察を受けるようにしましょう。


最後に

くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの鼻症状を起こす病気は、風邪、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎の他にもあります。鼻症状が長引く場合には、早めに医療機関を受診しましょう。

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MAT-JP-2111936-1.0-03/2022 最終更新日:2022.3.31

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