風邪・新型コロナウイルス感染症・
インフルエンザの特徴、

それぞれの症状は違うの?

Features -cold, flu and Covid-19
内田直樹(うちだなおき)先生
監修:内田直樹(うちだなおき)先生

昭和大学医学部 薬理学講座 臨床薬理学部門 教授
昭和大学卒。2014年4月より現職
日本臨床薬理学会 指導医・専門医

新型コロナウイルス感染症が登場してから、咳や発熱といった身近でよくある風邪症状にも注意が必要となりました。普通の風邪やインフルエンザとの違いをふまえて、新型コロナウイルス感染症の特徴と対処法をご紹介します。


普通の風邪、新型コロナウイルス感染症、
インフルエンザの違いは?

風邪症状は、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザでも
あらわれる

風邪では、のどの痛み、鼻水・鼻づまり、咳などの呼吸器症状や発熱、寒気(悪寒)、頭痛、筋肉痛・関節痛などの全身症状があらわれます。これら風邪症状は、普通の風邪のほか、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症の初期症状でもあらわれるため、症状だけでどの感染症か見分けることは困難です。

新型コロナウイルス感染症は風邪と区別しにくい

風邪やインフルエンザでは入院が必要な状態になることは比較的まれですが、2020年から2021年に感染が拡大した新型コロナウイルスの変異株による感染症ではおよそ2割という高い確率で入院が必要な肺炎を合併し、一部の方では重症化することがありました。引き始めは普通の風邪に思えても、新型コロナウイルス感染症である可能性も考え、風邪症状があるときは体調の変化に注意することが大切です。

普通の風邪と新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの特徴

新型コロナウイルス感染症は、初期症状が風邪やインフルエンザと似ていますが、症状が長引くことが特徴です。風邪やインフルエンザは通常、発症から3~4日で症状が軽快しはじめます。一方、新型コロナウイルス感染症は軽症であっても1週間ほど症状が続き、急激に悪化することもあります。
新型コロナウイルス感染症にウイルス性肺炎が合併すると、息苦しさ(呼吸困難)があらわれることがあります。熱があまり高くなくてもだるさ(倦怠感)が強いことや嗅覚・味覚障害は新型コロナウイルス感染症の特徴ですが、まったくみられない方も多く、個人によって症状のあらわれ方は異なります。

風邪、新型コロナウイルス感染症、
インフルエンザなどの症状の違い

症状 かぜ 新型コロナウイルス
感染症
インフルエンザ アレルギー性鼻炎
まれ
(症状が進むと38℃位迄の発熱)
37.5℃以上程度の発熱 急な38℃以上の高熱 なし
(あっても微熱程度)

くしゃみ
鼻水
鼻づまり
よくある
  • ・初期の鼻水は、
    透明でサラッとしているが、
    次第に粘りのある黄色い状態へ
    変化することが多い
時にある
  • ・鼻水を認めても、少量で
    多くはサラッとしている
まれ
  • ・鼻水を認めても、少量で
    多くはサラッとしている
よくある
  • ・発作的で連続するくしゃみ
  • ・透明でサラッとした鼻水
  • ・花粉飛散時期などの特定時期に
    現れることが多い
せき ある
(痰を伴う時も)
比較的多い
(痰を伴わない乾いた咳)
よくある
(ひどくなることもある)
時にある
全身症状 症状が進むと、熱っぽさや、
だるさといった身体全体の不調
筋肉痛が比較的多く、
倦怠感等を伴うことも
関節痛、筋肉痛などを伴う なし
その他の
特徴
  • ・のどや鼻の不快感からはじまり、
    のどの痛みや、声がかすれたり
    することもある
  • ・典型的な初発症状はない
  • ・頭痛、はき気(嘔吐なし)も比較的多い
  • ・強い嗅覚・味覚障害
    下痢などを伴うこともある

※においや味が急に弱く(薄く)なったり、
全く感じなくなった方は
医療機関へご相談ください。

  • ・重い病気を合併しやすい点など、
    「かぜ」とは異なる特徴がある
  • ・鼻のかゆみ
  • ・目がかゆく、涙が出ることもある
  • ・においや味が分かりにくい

[2021年1月作成]
監修:日本医科大学大学院医学研究科 頭頸部・感覚器科学分野 教授 大久保公裕先生
[参考]
新型コロナウイルス感染症 外来診療ガイド 公益社団法人 日本医師会 第2版 2020年5月29日
新型コロナウイルス感染症診療の手引き 第4版 2020年12月4日
インフルエンザの基礎知識 厚生労働省 2007年12月


新型コロナウイルスにはどうやって感染するの?

新型コロナウイルス感染症の主な
感染経路

新型コロナウイルスは、咳、くしゃみ、会話などで感染者から排出されたウイルスを含む粒子(飛沫やエアロゾル)を他の人が鼻や口から吸入することで感染します。また、接触感染でも感染すると考えられています。

  • 飛沫感染
    呼吸器などで発生する“しぶき”、つまり水分を含んだ小さな粒子のことを飛沫と呼びます。飛沫は発生すると水分の重さで落下しはじめますが、咳や会話などによって飛び出した飛沫は近く(1メートル以内)の相手にまで届いて吸入され、含まれたウイルスが気道粘膜に付着することで感染します。
  • エアロゾル感染
    エアロゾルは飛沫よりもさらに小さな粒子です。エアロゾルは軽いため空気中にしばらくとどまり、密閉された換気の悪い空間では1メートルを超えた距離の人にも感染させるリスクがあります。
  • 接触感染
    感染者がくしゃみや咳を手で押さえたときなど飛沫や唾液が付いた手で物を触ったり、飛沫が物に直接かかることで、ウイルスが身の回りの物に付着します。他の人がウイルスの付着した物を触ると手にウイルスが付き、その手で鼻や口、目の粘膜を触ることで感染します。
    新型コロナウイルスは、プラスチックの表面に付着した状態では最大72時間、ボール紙に付着した状態では最大24時間生存しているとされ、この期間は接触感染の可能性があります。

新型コロナウイルス感染症の
予防方法

ウイルスの侵入を防ぐ基本的な
感染防止策

新型コロナウイルス感染症は人から人へ感染するため、人との身体的距離をとって接触を減らすことが重要です。飛沫感染を防ぐための外出時のマスク着用、接触感染を防ぐための手洗いや身の回りの物の消毒も大切です。
新型コロナウイルス感染症では症状があらわれる2~3日前からウイルスの排出があり、無症状でも他の人に感染させてしまう可能性があります。自分自身の感染防止のためだけでなく、気づかないうちに他の人に感染させてしまうことも防ぐため、風邪症状の有無にかかわらず基本的な感染防止策を行いましょう。

ウイルスの侵入を防ぐ基本的な感染防止策のイメージ

感染防止の3つの基本

  • 身体的距離の確保
  • マスクの着用
  • 手洗い

3つの密を避ける

換気の悪い「密閉」空間、多数の人が集まる「密集」場所、すぐ近くで会話や発声をする「密接」場所では集団感染が起きやすいことが分かっていますので、これら3つの密(密閉・密集・密接)をできるだけ避けるようにしましょう。

  • 「密閉」空間にしないよう、こまめに換気する
    こまめに2方向の窓やドアを開けましょう。窓がない・少ない空間では換気扇や換気設備などで換気しましょう。
  • 「密集」しないよう、人と人の距離を取る
    混んだ場所に行くことや人混みに近づくことを避けましょう。他の人とは互いに手を伸ばして届かない十分な距離(2メートル以上)を取りましょう。座席は他の人の真向いやすぐ隣を避けて座りましょう。
  • 「密接」した会話や発声は避ける
    対面での会議や面談では十分な距離を保ちマスクも着用しましょう。エレベーターや電車の中など距離が近づかざるを得ない場合には、会話や携帯電話の通話はしないようにしましょう。マスクをはずす時間が長く、大声になりがちな大人数の会食は避けましょう。

ウイルスに感染しにくい体づくり

風邪、新型コロナウイルス感染症、インフルエンザはいずれもウイルスによる感染症であり、感染予防には体の免疫力を高めて感染に対する抵抗力をつけたり、ウイルスの侵入経路である気道粘膜のバリア機能を維持したりする対策が有効です。

  • ワクチンを接種する
    新型コロナウイルス感染症やインフルエンザには、感染リスクを低下させ、重症化を防ぐためのワクチンがあります。ワクチン接種は特定の種類の病原体に対する体の免疫力を高めてくれます。
  • 十分な睡眠と運動を心がける
    十分な睡眠や適度な運動習慣は体の免疫力を高めてくれます。
  • バランスの良い食事を摂る
    ビタミンC、ビタミンD、亜鉛など体の調子を整えるビタミン・ミネラルの摂取や、乳酸菌などのプロバイオティクスの摂取が、風邪などの呼吸器感染症を減らすことが報告されています。
  • ストレス解消を心がける
    精神的ストレスは、免疫力に影響を与え、感染症にかかりやすくすることが知られています。過労や過度なストレスは避け、気分のリフレッシュを心がけて日頃からストレスをためないようにしましょう。
  • 禁煙する
    喫煙が気道粘膜の働きを低下さたり、免疫力を低下させたりするため、喫煙者はさまざまな感染症にかかりやすく、新型コロナウイルス感染症でも重症化しやすいことが報告されています。
  • 適度な湿度を保つ
    空気が乾燥すると気道粘膜のバリア機能が低下し、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。乾燥しやすい室内では、加湿器や洗濯物の部屋干しなどを利用して適切な湿度(50~60%)を保ちましょう。

風邪薬は飲んでもいいの?
有効性は?

風邪のときの風邪薬の役割は?

風邪の原因となるウイルスを直接抑える薬は存在しないため、風邪は体の免疫力で治すしかありません。では、風邪薬はなんのために飲むのでしょうか。風邪を引くと体はウイルスを排除するために、ウイルスが侵入した組織で炎症を起こしたり体温を上げたりするのですが、これによってつらい症状があらわれ、とても体力を消耗します。風邪のときの風邪薬は、つらい症状を緩和し、体力を消耗する発熱などを和らげることで、体の免疫力がウイルスと戦って排除するのを助けてくれるのです。

風邪症状があるときの風邪薬の服用

風邪の引き始めのころの症状を、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザのものと区別をつけることは難しいです。風邪と思われる症状があるときには、症状に応じて早めに風邪薬を服用してもよいでしょう。

ただし、風邪症状が4日以上続く場合や、息苦しさ(呼吸困難)・強いだるさ(倦怠感)・高熱などの強い症状があらわれた場合は、風邪ではない可能性がありますので、かかりつけ医などに電話相談しましょう。また、持病をお持ちの方や高齢者、肥満、妊娠後期などの重症化しやすい方は、軽い風邪症状でもすぐに電話相談しましょう。


風邪に似た症状のさまざまな病気

風邪っぽいけど、風邪のせいではない
症状

鼻水・鼻づまり、のどの痛み、咳など、風邪のような症状があらわれると、新型コロナウイルス感染症が流行している時期には、原因となる病気がなんなのか心配になる方も多いでしょう。風邪に似た症状は、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザのほか、さまざまな風邪とは異なる病気のせいであらわれている可能性もあります。

主に鼻症状があらわれる病気

普通の風邪の多くは、鼻・のどの症状や咳といった複数の症状が、多少前後するものの一度にあらわれます。症状が主に鼻にだけあらわれている場合は、風邪ではないかもしれません。
風邪に似た鼻の症状が主にあらわれる病気としては、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎が考えられます。
アレルギー性鼻炎の鼻症状は、サラサラした水っぽい鼻水がいつまでも続くことが特徴です。
副鼻腔炎の鼻症状は、風邪のあとに悪化することが多く、濃い鼻水と鼻づまりが続き、頬や額の痛みや発熱を伴うこともあります。

主にのど症状があらわれる病気

のどの症状が目立ってあらわれる場合も、風邪ではないかもしれません。
風邪に似たのどの症状が主にあらわれる病気としては、他のウイルスや溶連菌による咽頭炎などが考えられます。鼻症状や咳はほとんどなく、つばや食事を飲み込むときののどの痛みに高熱やリンパ節の腫れを伴うことが多いです。
のどの症状のなかでも、のどの痛みがとても強く、つばも飲み込めず、息苦しい(呼吸困難)といった特徴があるときは命にかかわる病気の場合もあるため、すぐに医療機関を受診してください。

主に咳症状があらわれる病気

鼻やのどの症状が乏しく、風邪に似た咳が主にあらわれる病気としては、急性気管支炎や肺炎などが考えられます。
風邪によっても急性気管支炎は起こりますが、ウイルスが排除されると自然に軽快します。
注意が必要なのは、細菌など他の病原体の二次感染を起こし急性気管支炎や肺炎が起きている場合です。咳と発熱が続き、息苦しさ(呼吸困難)やだるさ(倦怠感)があらわれることがあり、新型コロナウイルス感染症と症状がよく似ているため、早めにかかりつけ医などに電話相談しましょう。


症状が軽快しない場合

風邪症状があるときの対応

新型コロナウイルス感染症の流行期に風邪症状がみられたら、外出を控えて自宅療養を行います。一般的な風邪であれば発症後3~4日で軽快しはじめます。
息苦しさ(呼吸困難)・強いだるさ(倦怠感)・高熱などがあらわれた場合や、風邪症状が4日以上続く場合には、新型コロナウイルス感染症を疑い、かかりつけ医または「新型コロナウイルス 受診・相談センター」に電話相談したうえで案内に従って医療機関を受診しましょう。なお、持病をお持ちの方や高齢者、肥満、妊娠後期などの重症化しやすい方は、軽い風邪症状でもすぐにかかりつけ医に電話相談してください。

参考資料

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MAT-JP-2111936-1.0-03/2022 最終更新日:2022.3.31

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