症状・疾患を知ろう
便秘は女性を中心に、実は多くの人の悩みとなっています。自分の便秘の傾向を深く知ることで、自分に合った正しい対処法を見つけましょう。
便秘とは、便中の水分が乏しく硬くなったり、もしくは便の通り道である腸管が狭くなり排便が困難、または排便がまれな状態をいいます。通常は1日に1~2回の排便がありますが、2~3日に1回の排便でも排便状態が普通で、本人が苦痛を感じない場合は便秘といいません。しかし毎日排便があっても便が硬くて量が少なく残便感がある場合や、排便に苦痛を感じる場合は便秘といえます。※
便秘になると、腹痛やお腹の張り(腹部膨満)だけでなく、肌あれ、吹出物などの症状が伴い、ひどくなると食欲不振や頭重などを伴う場合もあります。また、硬い便を排泄するために、いきんで肛門に負担がかかり、痔になりやすくなるのも心配です。
国民生活基礎調査(平成22年・厚生労働省)によれば、便秘症状は女性に多く、男性24.7に対し女性はその2倍となる50.6(人口1000人対)となっています。
また、男性も高齢になると多く、50歳以上では20代の2倍、60代では4倍以上もの人が便秘に悩んでいます。
※出典:厚生労働省ホームページ e-ヘルスネット
便秘の原因は大きく3つあり、「機能性便秘」と「器質性便秘」、「薬剤性便秘」に分けられます。
機能性便秘は、食生活やストレスなどの原因により、大腸の排泄機能が働かなくなることによって起こる便秘のことで、下記の3種類に分けられます。
痙攣性(けいれんせい)便秘 | ストレスや疲労などにより自律神経のバランスがくずれ、大腸の筋肉が部分的に強く緊張することで、便が通りにくくなる便秘です。 |
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弛緩性(しかんせい)便秘 | 大腸の筋力が弱まり、便が押し出しにくい状態の時に起こる便秘です。 運動不足や出産後の女性、加齢に伴って起こりやすいとされています。 |
直腸性便秘 | 腸内に便があっても排便反射(腸が本来もっている排出力)が起こらず、排泄に至らない便秘です。便意を我慢することを繰り返していると排便反射が起きにくくなり、この便秘が起こりやすくなります。 |
器質性便秘は、大腸の病気などのために腸管が狭くなり、便が通りにくくなるために起こる便秘です。血便や激しい腹痛、おう吐などを伴う便秘の場合は、器質性便秘の可能性がありますので、専門医を受診しましょう。
薬剤性便秘は、医薬品の副作用により起こる便秘です。
便秘薬に含まれる成分はさまざまです。便秘の種類や体調によって合わない成分もありますので、自分に合う便秘薬や成分を見つけることが大切です。
主な成分 | 腸を動かすしくみ | |
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刺激性成分 | ビサコジル、センナ、ピコスルファート、アロエなど | 腸粘膜や神経を刺激し、鈍った腸のぜん動運動などを亢進させ、優れた排出効果を発揮します。 |
浸潤性成分 (しんじゅんせい) |
DSS (ジオクチルソジウムスルホサクシネート)など |
腸内へ水分を引きよせて便をやわらかくし、界面活性成分が便を包んで滑りやすくします。一般用医薬品の便秘薬では、刺激性成分と合わせて配合されている成分もあります。 |
膨潤性成分 (ぼうじゅんせい) |
プランタゴ・オバタ種皮などの食物繊維など | 腸内で水分を吸収し便を膨張させやわらかくするとともに、便の容量を増やすことにより、ぜん動運動を亢進させます。 |
漢方成分 | 大黄甘草湯、麻子仁丸など | 腸粘膜や神経を刺激し、腸のぜん動運動などを亢進させ、排出効果を発揮します。 |
塩類成分 | 酸化マグネシウム、 水酸化マグネシウムなど |
腸内へ水分を集めて便をやわらかくして膨らませることにより、排出します。 |
弛緩性便秘や直腸性便秘には、鈍った腸を刺激して排出を促す「刺激性成分」の便秘薬や、硬い便をやわらかくする「膨潤性成分」の便秘薬などがおすすめです。
緊張・痙攣を起こしている状態の痙攣性便秘には非刺激性の「塩類成分」がおすすめです。
「ミネラル処方」の便秘薬とは、酸化マグネシウムなど、非刺激性成分の塩類成分を配合した便秘薬のことです。
腸の中へ水分を集める作用を持ち、腸内に滞留した便に水分を含ませてやわらかく膨らませ、自然に近いお通じを促します。
腸のぜん動運動を直接刺激しないので、身体(腸)に負担がかかりにくく、お腹にやさしく働きます。