監修医師 佐々木 春明先生からの
メッセージ
EDは、「まったく勃起しない状態」だけを指すものではありません。
時々うまくいかない、途中で維持できないといった軽度の症状も含まれ、多くの方が人生の中で経験しうる身近な状態です。
こうした変化は加齢による自然な影響もありますが、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病が背景にあることも少なくありません。
実際、EDがきっかけとなって他の病気の早期発見につながるケースもあります。
大切なのは、「一人で抱え込まないこと」です。
EDは適切な対処によって改善が期待できます。
生活習慣の見直しに加え、医療機関での相談や治療薬の使用など、さまざまな選択肢があります。
恥ずかしさや不安を感じるのは自然なことですが、早めに専門医へ相談することで、身体的・心理的な負担を軽減し、より良い解決につながります。
まずは正しい知識を持つこと、そして小さな一歩を踏み出すことから始めてみましょう。
EDの症状や原因、予防・治療法まで
EDの基本

ED(勃起不全・勃起障害)とは
ED(Erectile Dysfunction)とは、「満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られない、または維持できない状態が持続または再発すること」を指します。 実は多くの男性が抱えるとても身近な悩みです。自信を取り戻すために、まずはご自身の身体のサインと向き合ってみることが大切です。
同じ悩みを持っている人は
意外と多いのです
日本性機能学会が発表した「性機能障害に関する全国実態調査報告(2024年7月)」によると、EHS(Erection Hardness Score/勃起の硬さスケール)のグレード2以下をEDと定義した場合の日本人男性におけるEDの有病率は30.9%に上り、日本のED患者は約1,400万人にのぼると推計されています。また、20~24歳の有病率は26.6%で50~54歳(27.8%)とほぼ同等の結果となっています。
また、2025年にエスエス製薬が実施した調査※では、EHSのグレード3以下に該当した方をEDの可能性があると判定し、それ以外をEDの可能性がない人と判定した場合、日本男性の「約2人に1人」はEDの可能性であることが示唆されました。

EHSのグレード3以下に該当した方をEDの可能性がある人と判定し、それ以外をEDの可能性がない人と判定しています。
勃起の硬さスケール(日本語版EHS)
EHS: Erection Hardness Score
グレード0:陰茎は大きくならない。
グレード1:陰茎はおおきくなるが、硬くはない。
グレード2:陰茎は硬いが、挿入に十分なほどではない。
グレード3:陰茎は挿入には十分硬いが、完全には硬くはない。
グレード4:陰茎は完全に硬く、硬直している。
出典:日本性機能学会雑誌第24巻第1号(2009年6月)
調査概要
調査名:EDとSexual Well-beingに関する調査
調査委託先:株式会社ネオマーケティング
実施日(国内):2025年12月19日(金)~2025年12月23日(火)
実施日(海外):2026年1月14日(水)~2026年1月22日(木)
調査方法:オンライン調査
調査対象:日本の20歳~69歳の男女5,000名(男性:4,000名、女性:1,000名)、アメリカ・イタリア・スウェーデン・韓国・タイの20歳~69歳の男女各1,000名
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EDの症状
EDは、まったく勃起しない状態だけが症状ではありません。そして誰にでも起こりうる身体の変化であり、恥ずかしいことではありません。まずは身体の声を受け止めることが大切です。
EDの症状は人によって異なりますが、代表的には次のようなものがあります。
十分な硬さにならない、勃起しない
挿入できても途中で萎えてしまう
最後まで勃起を維持できない
性的欲求はあるが身体がついてこない など
EDの原因
EDには、原因の違いによって次の3つのタイプがあります。多くの場合、これらが単独、あるいは組み合わさって関与しています。
器質性ED:身体の問題が主な原因
心因性ED:ストレスや不安など、心の問題が主な原因
混合型ED:身体と心の両方の問題が関与
EDの主なリスク因子としては、加齢のほか、生活習慣や併存疾患が知られています。
生活習慣には、食事、運動、休養の状態、喫煙や飲酒の習慣などが含まれます。また、高血圧、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病を併せ持つことも、EDのリスクを高める要因となります。
さらにEDは、こうした全身の病気が進行していることを示すサイン(予兆)として現れることもありますので、EDの原因やリスク因子を正しく理解し、気になる変化があれば早めに医師へ相談し、適切な対応を始めることが重要です。
EDの予防方法
EDは加齢に伴い男性ホルモン(テストステロン)が低下する男性の更年期障害の一つでもあります。よって、EDになるのは仕方がないという考えもありますが、生活習慣やストレスを上手くコントロールすることで発症を遅らせたり、予防につながります。
またEDの原因は一つではなく、個々で異なります。そのため予防方法も人それぞれですが、EDのリスク因子である肥満、運動不足や喫煙などはご自身の生活習慣を改善することでEDの予防に効果的です。とくに喫煙は血流を低下させ、勃起機能を妨げるだけでなく、精子の質の低下や、胎児発育にも悪影響を及ぼすため禁煙を推奨します。まずは、EDの原因につながる習慣がないかをチェックし、できることから取り組んでいくようにしてみてください。
EDの治療方法

1. 生活習慣の改善
EDの根本的な原因である血管機能の低下を防ぐため、運動や食事改善などご自身が着実に取り組める生活習慣から見直してみてください。

2. 薬物療法
日本では、EDの処方薬としてシルデナフィル、バルデナフィル、タダラフィルの3種類が使用されており、国内外で有効性と安全性が十分に報告されています。
このうち、タダラフィルを有効成分とするED治療薬が、2026年5月20日にスイッチOTCとして厚生労働省より承認を受け、ドラッグストアや薬局、オンラインストアなどで処方箋なしで販売できるようになりました。

3. クリニックでの治療(カウンセリング・手術・処方箋など)
専門医なら、処方薬だけでなく補助具や衝撃波治療(ESWT)、陰茎海綿体自己注射(ICI治療)、ホルモン治療などの治療を受けることができます。
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食事・運動・睡眠など
EDとライフスタイル

EDは血流・神経・ホルモン・心理状態などが複雑にかかわるため、ライフスタイルの影響を受けやすいです。よって、生活習慣を改善することで、EDの改善につながることも期待できます。

生活習慣の改善は大切ですが、それだけで全て解決するとは限りません。原因は複雑で、血管や神経の問題、ストレスなどの要因が隠れていることも。生活習慣の改善だけでなく、薬の服用や、専門医に相談しながら対処することを推奨します。

中国※1やオーストラリア※2での調査では、喫煙量が多いほどEDの発症率が高くなる傾向が確認されています。
また、肥満の改善や運動不足の解消はEDの予防・改善に役立つ可能性が高いとされています。
※1 He J, et al. Am J Epidemiol. 2007;166:803–809. doi:10.1093/aje/kwm109
※2 Millett C, et al. Tob Control. 2006;15:136–139. doi:10.1136/tc.2005.015545

EDと睡眠は深く関係しており、睡眠不足や睡眠の質の低下は勃起機能に悪影響を与えます。睡眠中には、男性ホルモンが分泌され、血流や神経の働きも整えられるため、十分な睡眠が確保されていないと、性欲や勃起力の低下につながります。さらに、睡眠不足は自律神経のバランスを乱し、リラックス状態を妨げることによって、勃起機能の低下につながります。

EDは加齢に伴い男性ホルモン(テストステロン)が低下する男性の更年期障害の一つでもあります。よって、年齢とともに発症率は高まりますが、年齢にかかわらず発症する場合もあります。適切な治療と生活習慣の見直しなどにより、改善は可能なので、あきらめずにできることから取り組みましょう。
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二人で向き合う
性の健康と
ウェルビーイング

「性の健康」は、思春期から高齢期まで、人の一生に関わるものです。世界保健機関(WHO)は、「性の健康」を性に関連した身体的、感情的、精神的、社会的な幸福の状態であり、単に病気や機能障害、病弱であることではないと定義しています。
世界では「SRHR※(Sexual and Reproductive Health and Rights)」という考え方が広がっており、次の3つが大切だとされています。
SRHRとは、性と生殖に関する健康と権利のことで、誰もが自分の体や性、人生について自由に決定できる基本的人権です。
正しい情報を知り、自分で選べること
必要な医療やサポートを受けられること
一人ひとりの尊厳と権利が守られること
「性の健康」は、WHOや国連も「基本的人権」の一部としています。心と体、そして人とのつながりが満たされた状態=ウェルビーイングを実現するために「性の健康」は欠かせません。そして、性的な関係は、パートナー同士の思いやりと同意のうえで成り立ちます。
性の話題は、恥ずかしさや不安、ためらいを感じることがあるかもしれません。しかし、相手を大切に思う気持ちや、自分自身の希望や願いを伝えることから始まる対話は、関係をより安心できるものにします。うまく話そうとしなくても大丈夫です。気持ちを伝えることが何よりも大切です。
ED治療は、「性生活を取り戻すこと」だけが目的ではありません。あなたとパートナーの尊厳・安心・健康を大切にする選択です。「もっと豊かな性生活を送りたい」「関係をよりよくしたい」、そんな願いをお互いに理解し合い、ともに歩むことで、今の関係を維持し、さらに深めることができます。

監修:佐々木 春明(ささき はるあき)先生
昭和医科大学 客員教授
医療法人社団 三喜会 横浜新緑総合病院 泌尿器科 部長
昭和大学 医学博士取得
一般社団法人 日本性機能学会 理事長
一般社団法人 日本泌尿器科学会 認定専門医
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MAT-JP-2601023-2.0-05/2026
最終更新日:2026年5月20日





