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熱中症による頭痛を「早く治したい」場合の治し方はある?
他の可能性もあわせてチェック

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熱中症による頭痛を「早く治したい」場合の治し方はある? 他の可能性もあわせてチェック

高温・多湿な環境で水分や塩分をとらずに活動していると、熱中症にかかってしまう可能性があります。
実際に熱中症にかかり、症状の1つである「頭痛」が起きてしまった場合はどのように対処すべきでしょうか。
本コンテンツでは、熱中症の基礎知識をはじめ、頭痛との関係や、対策・応急処置などについて解説します。

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監修:東京歯科大学 市川総合病院 神経内科 教授
柴田 護先生

熱中症による頭痛ってどんな症状?

身近に起こるさまざまな頭痛の1つとして、特に猛暑が続く夏場には「熱中症」の可能性が考えられます。もし、熱中症による頭痛が起きてしまった場合に「早く治したい」との一心で、最初から市販の解熱鎮痛薬で痛みをおさえるのは避けましょう。まず、熱中症の場合は適切な対処をしたうえで、頭痛が治まらない場合は速やかな医療機関への受診をおすすめします。
ここでは、熱中症と頭痛に関する基本的な情報を紹介します。

熱中症とは

熱中症は高温・多湿な環境の中に長時間いることで体の機能がうまく働かなくなり、発症してしまう障害の総称です。体の機能障害としては、次のようなものが挙げられます。

  • 体内の水分や塩分のバランスが損なわれる

  • 体温調整機能が正常でなくなる

熱中症の症状は多岐にわたり、場合によっては生命に関わる重症化も考えられるため、注意が必要です。

熱中症が起こりやすい場所・状況

熱中症は、特に夏場の気温や湿度が高い日に起こりやすい傾向があります。次のような場所・状況を避けるようにしましょう。

  • 炎天下

  • 室内でエアコンや扇風機がない場所

  • 直射日光をさえぎる覆いがない場所

  • 飲料水あるいは塩飴などを長時間、口にできない状況

  • 熱を吸収する服装や、保熱しやすい服装を着用している状況 など

熱中症の分類とそれぞれの主な特徴・症状

熱中症は症状などによって、次の4つに分類されます。次の表では、簡単に要点を紹介します。


熱中症の4つの分類と主な特徴・症状

分類

主な特徴・症状

熱射病

・体温調節機能の失調や、中枢神経障害が原因と考えられている。致命率が比較的高く、緊急の治療を要する

・症状はめまい、頭痛や耳鳴り、嘔吐や下痢などを経ての意識障害など

熱虚脱

・高温の環境下で、心拍増加が一定限度を超えた際に起こりやすい

・症状は全身の倦怠感や脱力感、めまいなど。意識混濁にいたることも

熱けいれん

・大量の発汗後に、塩分を補給できなかった場合に起こりやすい

・症状は手足や腹部の筋肉の痛み、けいれんなど

熱疲労
(疲はい)

・大量の発汗後に、心臓の負担増加や血液分布の異常によって起こりやすい

・症状は激しい口渇や尿量の減少を経て、めまいや手足の感覚異常など。歩行困難や失神にいたることも

熱中症は「Ⅰ度→Ⅱ度→Ⅲ度」の順で症状が重くなります。以下の表で、それぞれ症状を紹介します。診断は医師が行いますが、重症度と各症状は予備知識として知っておくことをおすすめします。


熱中症の重症度の分類と症状

重症度

症状

Ⅰ度

・めまい、失神(立ちくらみ)

・筋肉痛、筋肉の硬直(こむらがえり)

Ⅱ度

・頭痛や不快感、吐き気や嘔吐、倦怠感、虚脱感

Ⅲ度

・意識障害、けいれん、四肢の運動障害

・高体温

熱中症と頭痛の関係

熱中症にかかった場合、主にⅡ度にあたる重症度で、頭痛があらわれやすいとされています。注意点として、熱中症に伴ってあらわれた頭痛に関しては、例えば緊張型頭痛などと異なり、市販の解熱鎮痛薬(頭痛薬)で症状をおさえるのはやめましょう。熱中症がうたがわれる状態で頭痛が起きた場合には、注意が必要です。

熱中症による頭痛が考えられる際の対処・応急処置

熱中症がうたがわれる環境や状態で頭痛が起きた場合には、可能な範囲で次のような対処をとりつつ、頭痛が治まらない場合には医療機関を受診しましょう。

  • 涼しく風通しのよい場所へ移動する

  • 衣類を減らす、ゆるめる

  • 水分をとる

  • 塩分をとる

  • 頭や首まわり、わきの下を冷やす

  • 市販の解熱鎮痛薬(頭痛薬)は使用しない

頭痛の他にこんな症状がある場合はすぐ病院へ!

頭痛の他に、次のような症状がみられた場合は、重症度が高い熱中症の可能性があるため、速やかに病院へ行き、医師の診断を仰ぎましょう。

  • 手足のしびれやけいれん

  • 嘔吐

  • 腹痛、下痢

  • 意識混濁、意識消失

熱中症は「翌日の過ごし方」「回復後の対応」も大事

もし熱中症が回復傾向にあっても、また熱中症のうたがいがみられた状態が落ち着いても油断はできません。熱中症は翌日の過ごし方や、回復後も体調を注意深く観察するのが大切です。

翌日以降の過ごし方

なるべく涼しい場所でゆっくり休み、充分に水分補給を行いながら体の完全な回復を目指しましょう。あわせて次のような食事をとることもおすすめします。

  • ビタミンB1が含まれる豚肉や豆腐、味噌などの大豆製品、玄米など

  • ビタミンCが多く含まれる赤ピーマンや、カラフルな夏野菜など

  • クエン酸が含まれる梅干しや酢、レモンなど

このような対処をしても、頭痛や他の症状が治まらなかったり、少しでも体調がおかしいと感じられる場合には、必ず医師に相談しましょう。

熱中症からの回復後に注意しておきたいこと

「体の状態が十分に回復した」と感じられた場合でも、例えば重篤な熱中症になっていた場合には、後遺症がでる可能性が考えられます。熱中症が回復した後も、体調に異変を感じたら医療機関へ相談するようにしましょう。

熱中症が原因ではない、他の頭痛の可能性もチェック

猛暑の中、屋外に長時間いたり、激しいスポーツや労働をしたりした後に頭痛が起こると、真っ先に思い浮かぶのは熱中症です。しかし、熱中症が原因ではない頭痛も起こる可能性があることを覚えておきましょう。

下記ページの「#謎頭痛図鑑」では、日常のさまざまなシーンで起こる頭痛について、考えられる原因や対処方法を解説しています。

  • 天候や気圧・気温の影響による謎頭痛

  • 目の疲れ・筋肉の過度な緊張などによる謎頭痛

  • その他の謎頭痛

ぜひあわせてチェックしてみてください。

監修:柴田 護先生
東京歯科大学 市川総合病院 神経内科 教授
慶應義塾大学 医学部客員教授

平成4(1992)年慶應義塾大学医学部卒業。 日本神経学会神経内科専門医・指導医、日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本頭痛学会頭痛専門医・指導医、日本脳卒中学会脳卒中専門医・脳卒中指導医、日本認知症学会認知症専門医・認知症指導医。

  • 掲載している情報や、監修者の所属・肩書きは、記事作成時点のものです。

	柴田 護先生(東京歯科大学 市川総合病院 神経内科 教授)

ここまでの内容は柴田 護先生に監修いただきました。

本コンテンツは熱中症による頭痛に関する情報を提供するものであり、イブ解熱鎮痛薬シリーズの効能・効果を示すものではありません

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MAT-JP-2408947-1.0-10/2025

最終更新日:2025年10月30日