学会発表「一般用医薬品に関する相談内容」
~製薬会社お客様相談室年間1万件の応対記録から~
エスエス製薬株式会社には、年間約10,000件の製品関連問合せがあります。 私たちは一般用医薬品を医療従事者や一般の方々に知っていただくために、2025年10月開催の日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会OTC分科会にてポスター発表しました。
目的
一般用医薬品(OTC医薬品)は、医師の処方を必要とせず、消費者が自身の判断で購入・使用可能な医薬品である。
近年、セルフメディケーションの推進に伴い、OTC医薬品の利用機会は増加傾向にある。一方で、消費者がこれらの医薬品を適切に使用するためには、十分な情報提供とその理解が不可欠である。
特に高齢者や医薬品の使用に不慣れな層においては、添付文書やパッケージに記載された情報のみでは理解が不十分となり、誤用や不安を招く可能性がある。
本研究では、当社お客様相談室に年間約1万件寄せられる相談記録を分析し、消費者が抱える疑問や不安の傾向を明らかにすることを通じて、今後の情報提供の在り方やリスクコミュニケーションの改善に資することを目的とした。
結論
「安全性」に関する相談が最多であり、全体の約22%を占めた。
具体的な内容としては、有害事象の報告に加え、副作用の有無、長期使用による影響、他剤との併用に対する懸念が多く見受けられた。さらに、「食事の影響」「用量」「不適正使用」に関する相談も多く、特に高齢者からの問い合わせが顕著であった。
また、相談者の中には添付文書の記載内容を誤解していたり、自己判断により投与量を変更していた事例も確認された。加えて、妊娠中および授乳中の使用に関する相談も一定数寄せられており、個々の生活状況に応じた適切な情報提供の重要性が示唆された。


方法
2023年~2024年の2年間に弊社のお客様相談室に寄せられた19,756件の一般用医薬品に関する相談のうち消費者からの16,738件を分析対象とした。なお99%以上が、製品や会社ホームページに掲載されたフリーダイヤルでの電話相談であった。相談内容は、事前に定義したカテゴリー(例:用法・用量、副作用、併用、購入方法、保管、成分、妊娠・授乳中の使用など)に分類し、件数および割合を集計した。また、可能な範囲で相談者の属性(年齢層、性別、相談経路など)も分析対象とした。さらに、定性的な傾向を把握するため、代表的な相談内容を抜粋し、具体的な事例をもとに考察を行った。分析には、社内のシステムに蓄積された記録を用い、個人情報保護に配慮した形で実施した。
VODセミナー
エスエス製薬では、OTC医薬品の販売に携わっておられる方を対象に、無料のVODセミナーを実施しています。ご紹介した研究に関連する製品など項目ごとに分割し、疾患や薬理も短時間で学習できる内容が掲載されています。
詳しくは「VODセミナー」ページにて
MAT-JP-2507459-1.0-11/2025
最終更新日:2025.11.27









