花粉による鼻炎になったら…
自分でできる対処法と薬

生活習慣を見直して悪化させない
2019年のアレルギー性鼻炎の全国調査結果※によると、すでに約半数の方(42.5%)が花粉症にかかっているそうです。花粉症患者の増加には、飛散する花粉量の増加に加え、取り巻く環境や生活習慣の乱れが影響を及ぼしていると考えられています。
PM2.5や黄砂は、それ自体アレルゲンではないものの、汚染物質や花粉などのアレルゲンが付着して飛散することで悪化させる要因に。生活習慣については、喫煙や過度な飲酒、睡眠不足などが挙げられますが、例えばタバコの煙は鼻の粘膜を刺激し、症状を悪化させる可能性があります。飲酒はアルコールの分解時に発生するアセトアルデヒドが、アレルギーを引き起こすヒスタミンの分泌を促すといわれています。症状を悪化させず花粉シーズンを乗り切るために、まずは生活習慣を見直すことからはじめてみましょう。
出典:鼻アレルギー診療ガイドライン 2020年度版
注意!花粉症を悪化させるもの
とりまく環境 | 生活習慣 |
|---|---|
・大気中の汚染物質(PM2.5など) ・黄砂 ・空気の乾燥 | ・喫煙 ・過度な飲酒 ・睡眠不足 ・ストレスのためこみ ・偏食 など |
対処法1 上手に使いたい花粉症の薬
花粉症は一度発症すると長く付き合っていかなければならない疾患です。長引くつらい症状は日常生活にも影響を及ぼし、生活の質を低下させるといわれています。不快な症状を緩和し、少しでも快適に過ごすためには、薬の服用は有効です。花粉飛散開始予測日を目安に服用を始めることで、発症を遅らせたりピーク時の症状を軽減したりできることがわかっています。自分の症状にあった薬を上手に利用しましょう。
抗ヒスタミン薬には、開発の時期の違いにより第1世代と第2世代の2つの分類があります。
第1世代抗ヒスタミン薬 | 第2世代抗ヒスタミン薬 | |
|---|---|---|
作用の主な特徴 | ・くしゃみ・鼻水を抑える | ・アレルギー症状の発生を抑える ・第1世代抗ヒスタミン薬より |
効果的な使い方 | 長期での連用は避けて、症状が出た時だけの服用(頓用)、もしくは短期の使用がおすすめ | 花粉の飛散予測日から、または症状が出始めた頃など早めの使用が効果的 |
副作用 | 眠気や口の渇きなど、第2世代抗ヒスタミン薬と比べて現れやすい | 比較的副作用は少ない |
代表的な成分 | ・クレマスチンフマル酸塩 ・カルビノキサミンマレイン酸塩 ・ジフェニルピラリン塩酸塩 | ・セチリジン塩酸塩 ・フェキソフェナジン塩酸塩 ・エバスチン ・ロラタジン ・メキタジン |
対処法2 ちょっとした工夫で花粉をブロック
家の中:換気中はレースカーテンで部屋に入れない
ある調査によると花粉のピーク時に1時間の換気をしたところ、およそ1,000万個もの花粉が室内に流入したそうです※。花粉シーズン中に換気を行う際は、レースのカーテンを活用しましょう。窓は10cm程度開け、レースのカーテンは閉めたまま風を入れます。レースを通すことで、室内への流入花粉量をおよそ4分の1に減らすことができるそうです※。流入した花粉は床やカーテンなどに残存しているので、掃除をこまめに行い、カーテンは定期的に洗濯しましょう。
出典:環境省「花粉症環境保健マニュアル2019」より

外出時:マスク+インナーマスクで防御力を強化
サイズの合ったマスクを正しく着用することは、花粉を体内に入れない有効な手段です。市販のマスクに、簡単に作れるインナーマスクをプラスすれば、より防御力の強化になり、花粉をカットする効果が、さらに高まることがわかっています。
インナーマスクの作り方
用意するもの ![]() |
![]() 化粧用コットンを丸めて、ガーゼ1枚でくるむ(A)。 |
![]() もう1枚のガーゼを4つ折りにし(B)、マスクの内側にあてる。 |
出典:環境省「花粉症環境保健マニュアル2019」
対処法3 つらい鼻ムズの解消法
花粉症の長引くつらい症状は少しでも軽くしたいもの。科学的には効果が実証されていませんが、鼻ムズ解消に役立つおすすめの民間療法をご紹介します。
蒸しタオルで鼻の通りを改善
鼻水や鼻づまりで苦しいときは、温かい蒸しタオルが効果的です。鼻を温めることで、血流が促され、鼻腔も広がるので、一時的ですが鼻の通りの改善が期待できます。
ハンドタオルを水で濡らして固く絞る
電子レンジで20~30秒ほど加熱
タオルを鼻に3~4分あてながら鼻呼吸する

ツボ押しで鼻づまりを緩和
いつでもどこでも、すぐに行えるのがツボ押しです。花粉症の症状で集中力が落ちたときなど、気分転換を兼ねて実践してみるのもおすすめです。鼻の周囲にある印堂と迎合、また手の甲にある合谷が、鼻づまりに効果的なツボとされています。

印堂はゆっくりと少し強めに押します。鼻づまりのほか、頭痛やストレスの緩和にも効果が期待できます。迎合は強めに10秒ほど押します。鼻の通りがよくなるまで繰り返すとよいといわれています。

万能のツボといわれる合谷は、呼吸器官全体を整えるのに良いといわれています。印堂や迎香と組み合わせると、より効果を期待できます。
不快な症状を、アロマの香りでリフレッシュ
花粉症の不快な症状が続くと気分もふさぎがちに。植物から抽出したアロマオイルで、香りを楽しみながらリフレッシュしましょう。症状の緩和を期待できるアロマの香りを、ディフューザーで部屋に拡散したり、アロマスプレーでマスクの外側に吹きかけたり。お湯を入れたマグカップにアロマオイルを一滴たらして、香りの蒸気を吸入する芳香浴も効果的です。

おすすめのアロマオイル

ユーカリ
清々しく爽快な香りは、粘膜の炎症や鼻づまりを和らげる効果があるといわれています。

ペパーミント
メントールの清涼感のある香りは、頭痛や鼻づまりを緩和する効果が期待できます。

ティーツリー
スッキリとしたフレッシュな香りは、鼻のコンディションを整えるといわれています。
対処法4 花粉の季節におすすめの食べ物・飲み物
花粉の季節の健康に良い食品として、お茶、乳酸菌、いわゆるサプリメントなどがいわれていますが、花粉症の治療には現在いろいろな特徴を持った薬剤があり、それぞれの症状に合わせ医師から処方してもらって治療するのが基本です。
ただ、バランスのとれた食事は、花粉症に負けない体づくりのためにも大切といえます。医学的には、花粉症に良いとされる食材を多く摂っても、症状に大きな影響はないとされています。しかし、粘膜の健康維持に関与する栄養素などはあるので、それらを食生活にバランスよく取り入れることで花粉症予防につながります。
DHA・EPAを含む食べ物
DHA・EPAは健康維持に役立つと注目されているオメガ3脂肪酸。青魚に多く含有され、アレルギーの炎症症状を抑える効果が期待されます。
●マグロ ●サンマ ●サバ ●イワシなど

ビタミンAを含む食べ物
ビタミンAは皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素といわれています。効率よく摂るなら、含有量の多い鶏や豚のレバーがおすすめです。
●鶏・豚・牛のレバー ●うなぎ ●にんじん ●ほうれん草など

ビタミンCを含む食べ物
アレルギー症状を引き起こすヒスタミンの分泌を抑える働きがあるといわれています。一度にたくさん摂っても排泄されてしまうので、こまめに摂りましょう。
●赤・黄ピーマン ●ブロッコリー ●キウイ ●レモンなど

ビタミンDを含む食べ物
ビタミンDは骨の形成や維持を助ける重要な栄養素です。近年、ビタミンD不足とアレルギーの関連性にについて研究が進められています。
●カツオ ●サケ ●サンマ ●キクラゲ

ビタミンEを含む食べ物
抗酸化作用により、体内の脂質の酸化を防ぎ、体を守る働きがあるといわれています。ビタミンA、ビタミンC と一緒に摂ると、より効果が期待できます。
●かぼちゃ ●アーモンド ●アボカド ●銀ダラなど

食物繊維を含む食べ物
腸内の善玉菌のエサとなる食物繊維を摂り、腸内環境を整えることで、免疫機能を正常に保ち、アレルギー反応が抑制されると考えられています。
●ゴボウ ●豆類 ●干ししいたけ ●りんごなど

発酵食品
納豆菌や乳酸菌、麹菌など、体に有用な菌を多く含む発酵食品。腸内環境を整えるのに役立つ善玉菌を増やすといわれています。
●納豆 ●ヨーグルト ●キムチ ●ぬか漬けなど

ココア
ポリフェノールの一種であるカカオポリフェノールに、アレルギー症状を引き起こすヒスタミンの放出を抑える効果があるといわれています。

べにふうき茶
アレルギーを抑制する効果が期待されるメチル化カテキンを豊富に含有。緑茶にして飲むことで、メチル化カテキンを多く摂ることができると考えられています。

甜茶
甜茶の中でもバラ科キイチゴ属の甜葉懸鈎子(てんようけんこうし)を原料にした甜茶はGODポリフェノールを含み、ヒスタミンの過剰分泌を抑える効果が期待されています。

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