その他
一般用医薬品のイブプロフェンとアセトアミノフェンの配合剤における新規製剤技術の応用
~配合成分の薬物動態の改善~
-2025年3月26日~29日 日本薬学会第145年会 ポスターセッションにて発表-
エスエス製薬株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:ニクヒレッシュ・カルラ)は、2024年10月から11月にかけて、日本人健康被験者を対象に、2024年9月に発売した自社新規製剤の解熱鎮痛剤(IP-TA)と既存の類似配合製剤(IP-TB)の薬物動態を比較する臨床試験を実施しました。この試験は、IP-TAの効果と安全性を評価するために行われ、その結果について、2025年3月26日~29日 日本薬学会第145年会 ポスターセッションにて発表いたしました。
IP-TAとは
我々は、イブプロフェンとアセトアミノフェン、作用点の異なる2つの鎮痛成分の併用効果を期待しIP-TAを開発しました。これらの成分はそれぞれ単成分よりも、配合にすることで効果が高まるという臨床試験結果が報告されています1, 2)。一般用医薬品において、頭痛などの痛みを早く緩和したいという生活者ニーズは高く、速効性のある効果的な医薬品の開発が重要です。当社独自の特許技術であるクイックアクション製法により、酸化マグネシウムとイブプロフェンの安定した配合を可能とし、イブプロフェンの溶解及び吸収を早めることが既に薬物動態試験で示されています3,4)。 今回、初めて2種類の鎮痛成分を配合した新規製剤をクイックアクション製法を用いて開発しました。
試験結果の要約
IP-TAはIP-TBと比較して、イブプロフェンの吸収が速く、血漿中濃度が高いことが示され、イブプロフェンの作用発現が速く、高い解熱鎮痛効果が示唆されています。IP-TBと比較してIP-TAの治療効果は即効性があり、解熱鎮痛薬として優れた効果を発揮すると期待されます。
試験の目的
この試験の目的は、IP-TAの薬物動態を、IP-TBと比較することで確認することです。薬物動態とは、薬が体内でどのように吸収され、分布し、代謝され、排泄されるかを調べることを指します。これにより、薬の効果や安全性を評価することができます。
IP-TAとIP-TBとは?
- IP-TA: エスエス製薬が開発したクイックアクション製法あり製剤
- IP-TB: 市販されているクイックアクション製法なしの類似配合製剤
両薬剤は、頭痛や生理痛、肩こり痛などを和らげるための解熱鎮痛薬です。IP-TAには1回量としてイブプロフェン(195㎎)、アセトアミノフェン(195mg)、無水カフェイン(65mg)、酸化マグネシウム(70mg)が含まれ、IP-TBには、同じく1回量として、 イブプロフェン(160mg)、アセトアミノフェン(160mg)、無水カフェイン(50mg)、乾燥水酸化アルミニウムゲル(70mg)が含まれています。イブプロフェンは痛みのもとであるプロスタグランジンが生成される末梢神経に作用し、アセトアミノフェンは痛みを感じる中枢神経で作用します。これにより、さまざまな種類の痛みに対して鎮痛効果を発揮します。
試験の方法
- 参加者: 健康な成人日本人24人
- 試験デザイン: 2期間、2群のクロスオーバー試験
- 服用方法: IP-TAは1回3錠、IP-TBは1回2錠を服用
試験は2つの期間に分かれており、参加者はA群とB群にランダムに分けられました。A群は最初にIP-TAを服用し、次にIP-TBを服用しました。B群は逆に、最初にIP-TBを服用し、次にIP-TAを服用しました。各期間の間には休薬期間が設けられ、参加者は薬の効果が完全に消えるまで待機しました。
結果
イブプロフェンの血漿中濃度:
IP-TBと比較して、イブプロフェンの吸収が速く、血漿中濃度が高いことが確認されました。これにより、IP-TAは即効性があり、痛みを迅速に和らげる効果が期待されます。具体的には、IP-TAのイブプロフェンの最大血漿中濃度(Cmax)は、IP-TBとの用量比(1.2)を超える約1.6倍でした。また、IP-TAはIP-TBよりも早く効果を発揮し、平均で26分速く最大血漿中濃度に達しました。イブプロフェンの吸収率定数(Ka)は、IP-TBよりもIP-TAの方が有意に高く、速い吸収を支持するデータと言えます。

アセトアミノフェンの血漿中濃度:
アセトアミノフェンについては、血漿中濃度プロファイルはIP-TAとIP-TBの間で用量依存的に類似していました。一部の制酸剤はアセトアミノフェンのTmaxを遅延させることが示されていますが、アセトアミノフェンの吸収速度に対する影響は限定的でした。

安全性:
試験中に副作用は発現しませんでした。すべての参加者が安全に試験を完了しました。副作用とは、試験中の治療に関連していると考えられる望ましくない反応を指しますが、この試験では副作用が発現した参加者は一人もいませんでした。
引用・参考文献
- Moore, R. A. et al., Single dose oral analgesics for acute postoperative pain in adults - an overview of Cochrane reviews., Cochrane Database Syst Rev, 28, 2015, doi: 10.1002/14651858.CD008659.pub3.
- Mehlisch, D.R.et al, Single-tablet fixed-dose combination of racemic ibuprofen/paracetamol in the management of moderate to severe postoperative dental pain in adult and adolescent patients: a multicenter, two-stage, randomized, double-blind, parallel-group, placebo-controlled, factorial study, Clin Ther, 32, 1033-1049, 2010, doi: 10.1016/j.clinthera.2010.06.002
- 川瀬一朗, 速溶性イブプロフェン製剤の開発.薬剤学, 69, 329-335, 2009
- 森 和也 ほか,イブクイック頭痛薬(イブプロフェン配合剤)の薬物動態試験, 医学と薬学, 57, 335-342, 2007
エスエス製薬について
エスエス製薬はOTC医薬品やヘルスケア製品に特化した製薬会社です。1765年の創業以来、260年にわたり健康へのニーズに応えるさまざまな製品を提供しています。2017年にはフランス・パリを本拠とし、グローバルヘルスケアリーダーとして100カ国以上で事業を展開し、幅広い医療ソリューションの創出・研究開発・販売を行っているサノフィ・グループの一員となり、コンシューマー・ヘルスケア事業「Opella.(オペラ)」の一翼を担っています。エスエス製薬は、今後も「スイッチOTC医薬品」など付加価値の高い医薬品の開発やセルフメディケーションの推進を通じて、人々の健康と生活の質の向上に貢献してまいります。
エスエス製薬株式会社の詳細は、https://www.ssp.co.jp/ をご参照ください。
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最終更新日:2025.04.15