朝起きたら鼻がつまって、呼吸しづらい。
仕事や勉強に集中できない。
なかなか寝付けない…。
鼻づまりで、こんな経験はありませんか?
一見些細に思える鼻づまりですが、睡眠の質や仕事の効率、心の健康にも影響し、生活の質(QOL)を低下させる厄介な問題です。単なる不快感として放置せず、原因を把握し、適切な対策を取りましょう。
鼻づまりに関する症状と原因、二次的な影響、対処法をご紹介します。
監修:
国際医療福祉大学 医学部
耳鼻咽喉科学 教授(代表)
岡野 光博 先生
はじめに
「鼻がつまって息苦しい」「夜眠れない」「集中できない」――そんな鼻づまりの悩み、実はアレルギー性鼻炎が原因かもしれません。本コラムでは、鼻づまりの仕組みや対処法、OTC医薬品の選び方まで、セルフメディケーションに役立つ情報をわかりやすく解説します。
アレルギー性鼻炎とは
アレルギー性鼻炎は、花粉やダニ(ハウスダスト)などのアレルゲン※1に対して、体が過剰に反応することで起こる炎症性疾患※2です。主な症状には、くしゃみ、鼻水、鼻づまりがあります。これらの症状は、軽度なものから日常生活に支障をきたす重度なものまで様々です。日本人の約50%(2人に一人)が罹患しており、年々増加傾向にあります。特に若年層での増加が顕著で、学校や職場での生産性低下にもつながっています。季節性※3(花粉症)と通年性※4(ダニアレルギーなど)に大別され、それぞれ対策方法も異なります。
アレルギー性鼻炎は単なる不快な症状だけでなく、生活全般に影響を及ぼします。鼻づまりにより口呼吸になることで睡眠の質が低下し、日中の眠気や集中力低下を引き起こします。また、慢性的な症状によりイライラや疲労感が増加することもあります。さらに、適切な治療を行わないと、副鼻腔炎※5や中耳炎※6などの合併症のリスクが高まる可能性もあります。
アレルギー性鼻炎の主な影響
- ・睡眠障害と日中の眠気
- ・集中力・作業効率の低下
- ・情緒面への悪影響
- ・合併症リスクの増加
※1 アレルギー反応を引き起こす原因物質(花粉、ダニなど)
※2 体の組織に炎症が起こる病気の総称
※3 特定の季節にのみ症状が現れるタイプ
※4 一年を通じて症状が続くタイプ
※5 鼻の周囲にある空洞(副鼻腔)に炎症が起こる疾患
※6 耳の中耳部分に炎症が起こる疾患
鼻づまりの仕組みと特徴
鼻づまり(鼻閉)は、鼻の粘膜が炎症によって腫れ、空気の通り道が狭くなることで起こります。アレルギー性鼻炎では、ヒスタミンなどの化学物質が放出され、血管が拡張し、粘膜がむくむことで鼻づまりが生じます。
さらに、炎症反応の一環として鼻粘膜からの粘液分泌も増加し、これも鼻腔の通気を妨げる要因となります。この一連の反応は、アレルゲンへの曝露が続く限り繰り返され、持続的な鼻づまりを引き起こします。
鼻づまりが長期間続くと、慢性的な鼻粘膜の炎症がおこります。鼻粘膜は、アレルゲンがなくても炎症症状が継続して症状が持続するようになることがあります。これにより、嗅覚の低下や頭痛、集中力の低下など、さらなる症状を引き起こす可能性があります。
アレルギー性鼻炎の鼻づまりは、複雑な免疫反応の結果として起こります。まず、花粉やダニなどのアレルゲンが鼻から吸い込まれると、鼻粘膜上の抗体(IgE※7)と結合します。この結合が引き金となり、マスト細胞※8からヒスタミン※9などの化学物質が放出されます。放出された化学物質により、局所的な炎症反応が引き起こされ、血管が拡張してうっ血したり、血管の透過性が亢進して血漿成分が粘膜に浸みでます。炎症と血管の反応により、鼻粘膜が腫れ上がり、鼻腔の空間が狭くなることで通気が妨げられます。さらに、炎症反応の一環として鼻粘膜からの粘液分泌も増加し、これも鼻腔の通気を妨げる要因となります。
※7 免疫グロブリンEの略。アレルギー反応に関与する抗体の一種
※8 1型アレルギー反応で重要な役割を果たす免疫細胞
※9 アレルギー症状を引き起こす化学物質の一つ
アレルギー性鼻炎の鼻づまりの特徴
アレルギー性鼻炎による鼻づまりには、他の疾患と区別できるいくつかの特徴があります。まず、アレルゲンへの曝露が続く限り症状が持続するという持続性があります。季節性アレルギーの場合は特定の季節に症状が悪化し、通年性アレルギーの場合は年間を通じて症状が続くことがあります。
また、アレルギー性鼻炎の鼻づまりは発作的にはじまり、重症化すると通常両側性※10、すなわち両方の鼻が同時につまります。これは、アレルゲンが両側の鼻腔に同時に侵入するためです。さらに、症状の程度が時間帯や環境によって変化する変動性※11も特徴的です。多くの場合、朝や夜に症状が悪化し、寝ている間に鼻づまりが悪化して起床時に最も症状が強くなることがあります。
アレルギー性鼻炎の鼻づまりは、くしゃみや鼻水といった他のアレルギー症状を伴うことが多く、目のかゆみや涙目などの眼症状を併発することもあります。また、特定のアレルゲンに曝露されると症状が悪化するという特徴もあります。例えば、花粉症の人が屋外で過ごした後に症状が悪化するなどです。
アレルギー性鼻炎の鼻づまりの主な特徴
- ・発作性かつ持続性(アレルゲン曝露と関連)
- ・両側性の症状
- ・時間帯による変動(特に朝晩に悪化)
- ・他のアレルギー症状との併発
アレルギー性鼻炎の鼻づまりは、他の疾患による鼻づまりとは異なる特徴を持っています。感冒(かぜ)による鼻づまりは一時的であり、通常1〜2週間で改善します。また、咽頭痛や咳、発熱などの全身症状を伴うことが多いです。副鼻腔炎による鼻づまりは持続的で、時に片側性※12であることもあり、膿性の鼻汁や頭痛、顔面痛を伴うことが特徴です。血管運動性鼻炎※13は、温度や湿度などの環境変化で誘発され、発作的に鼻水を生じやすいという特徴があります。
| 疾患 | 鼻づまりの特徴 | その他の症状 | 持続期間 |
|---|---|---|---|
| アレルギー性鼻炎 | 両側性、変動性、アレルゲン曝露と関連 | くしゃみ、鼻水、目のかゆみ | アレルゲン曝露が続く限り持続 |
| 感冒(かぜ) | 一時的、ウイルス感染に伴う | 咽頭痛、咳、発熱 | 通常1〜2週間で改善 |
| 副鼻腔炎 | 持続的、片側性のことも、膿性鼻汁を伴う | 頭痛、顔面痛、嗅覚低下 | 数週間から数ヶ月持続することも |
| 血管運動性鼻炎 | 両側性、環境変化で誘発 | 鼻水を訴えることが多い | 環境要因に応じて変動 |
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以下の症状がある場合は、医療機関への受診をお勧めします
- ・片側性の持続する鼻づまり
- ・血性の鼻水や鼻出血を伴う場合
- ・頭痛や発熱を伴う場合
- ・嗅覚障害が続く場合
- ・OTC医薬品で改善が見られない場合
- ・鼻づまりにより睡眠時無呼吸が疑われる場合
- ・3ヶ月以上持続する鼻づまり
※10 左右両方の鼻が同時に症状を呈する状態
※11 症状の程度が時間帯や環境によって変化する特徴
※12 左右どちらか一方の鼻だけに症状が現れる状態
※13 温度変化や刺激物により引き起こされる非アレルギー性の鼻炎
対処方法
アレルギー性鼻炎の治療は、症状の軽減と生活の質の向上を目指して行われます。治療の基本は、アレルゲン回避、薬物療法、アレルゲン免疫療法(減感作療法※14)の3つのアプローチです。これらを適切に組み合わせることで、より効果的な症状管理が可能になります。
アレルゲン回避
アレルゲン回避は、アレルギー性鼻炎の管理において最も基本的かつ重要な方法です。室内のアレルゲン対策としては、定期的な清掃や寝具の管理が重要です。掃除機がけを週2〜3回行い、拭き掃除も併せて行うことでハウスダストを減らすことができます。寝具は防ダニカバーを使用し、週1回以上日光に当てて掃除機をかけることでダニの繁殖を抑制します。
また、1日2回以上の換気を行い、空気清浄機の使用も効果的です。湿度を60%以下に保つことで、ダニやカビの繁殖を抑制することができます。屋外のアレルゲン対策、特に花粉症の場合は、毎日の花粉飛散情報を確認し、外出を調整することが大切です。外出時には花粉用のメガネやマスクを着用し、帽子の着用も効果的です。
帰宅時には外套をブラッシングして花粉を落とし、可能であればシャワーを浴びて花粉を洗い流すことをお勧めします。花粉の多い日は洗濯物の外干しを避け、室内干しや乾燥機を利用するとよいでしょう。これらの対策を日常的に実践することで、アレルゲンへの曝露を大幅に減らすことができます。
効果的なアレルゲン回避策
- ・定期的な室内清掃と換気
- ・除湿
- ・寝具の適切な管理(防ダニカバー、定期的な日光消毒)
- ・外出時の防御(マスク、メガネ、帽子の着用)
- ・帰宅時のケア(衣服のブラッシング、シャワー)
薬物療法
薬物療法は、アレルギー性鼻炎の症状を効果的に管理するための重要な手段です。症状の程度や種類によって、適切な薬剤を選択することが重要です。OTC※15医薬品は、医師の処方箋なしで薬局やドラッグストアで購入できる医薬品で、軽度から中等度のアレルギー性鼻炎の症状管理に有効です。
第2世代抗ヒスタミン薬※16は、眠気が少なく、1日1~2回の服用で効果が持続するという特徴があります。主に鼻水、くしゃみ、鼻のかゆみに効果があります。主な成分例としては、フェキソフェナジン、エピナスチンなどがあります。妊娠中や授乳中の方は使用前に医師に相談し、眠気の個人差があるため、初めて服用する際は自動車の運転などに注意が必要です。
鼻噴霧用ステロイド薬※17は、鼻づまりに特に効果的です。局所的に作用するため、全身への影響が少ないという利点があります。効果が現れるまでに数日かかることがあるため、継続的な使用が重要です。
鼻噴霧用抗ヒスタミン薬は、即効性があり、局所的に作用します。主にくしゃみや鼻水に効果があります。主な成分例としては、ケトチフェンなどがあります。点鼻用血管収縮薬※18は、鼻づまりに即効性がありますが、連続使用は5〜7日以内にとどめるべきです。長期使用により鼻粘膜の萎縮や薬剤性鼻炎※19を引き起こす可能性があります。
症状が重度の場合や、OTC医薬品で十分な効果が得られない場合は、医師の診察を受け、処方薬を使用することをお勧めします。
主なOTC医薬品の種類と特徴
- ・第2世代抗ヒスタミン薬:眠気が少なく持続性がある
- ・鼻噴霧用ステロイド薬:鼻づまりに特に効果的
- ・鼻噴霧用抗ヒスタミン薬:即効性あり
- ・点鼻用血管収縮薬:短期使用に限定すべき
アレルゲン免疫療法
アレルゲン免疫療法(減感作療法)は、アレルギー性鼻炎の根本的な治療法として注目されています。この治療法は、原因となるアレルゲンを少量から徐々に増量しながら定期的に投与することで、アレルゲンに対する体の過敏反応を和らげていくものです。長期的な効果を期待できる治療法ですが、医療機関での実施が必要です。
治療は通常3〜5年間継続され、その効果は治療終了後も持続することが多いです。ただし、効果が現れるまでに数ヶ月から1年程度かかることがあり、即効性を期待する場合には適していません。また、すべての患者に効果があるわけではなく、アレルゲンの種類や患者の状態によって効果の程度は異なります。
アレルゲン免疫療法は、重症度の高いアレルギー性鼻炎や、薬物療法で十分な効果が得られない場合、臨床的な治癒を目指したい場合などに検討される治療法です。治療を受ける際には、専門医との十分な相談が必要です。
アレルゲン免疫療法の特徴
- ・長期的な効果が期待できる
- ・臨床的な治癒が期待できる
- ・医療機関での実施が必要
- ・効果発現までに時間がかかる
- ・専門医との相談が重要
※14 アレルゲンを少量ずつ投与してアレルギー反応を和らげる治療法
※15 Over The Counterの略。処方箋なしで購入できる医薬品
※16 眠気などの副作用が少ない新しいタイプの抗ヒスタミン薬
※17 鼻に直接噴霧するステロイド薬
※18 鼻の血管を収縮させて鼻づまりを改善する薬
※19 薬の長期使用により引き起こされる鼻炎
OTC医薬品の選び方
アレルギー性鼻炎の症状管理には、適切なOTC医薬品の選択が重要です。症状の程度や種類によって、最適な薬剤は異なります。ここでは、症状別の選び方と、特に推奨される非鎮静性第2世代抗ヒスタミン薬(以下、第2世代抗ヒスタミン薬と表記)について解説します。
症状別の選び方
アレルギー性鼻炎の症状は、くしゃみ・鼻水型、鼻閉型※20、充全型※21の3つに大別されます。くしゃみ・鼻水が主な症状の場合は、第2世代抗ヒスタミン薬が効果的です。これらの薬剤はヒスタミンの作用を抑制することで、くしゃみや鼻水、鼻のかゆみを軽減します。
鼻づまりが主な症状の場合は、鼻噴霧用ステロイド薬が推奨されます。これらの薬剤は炎症を抑制し、鼻粘膜の腫れを軽減することで鼻づまりを改善します。効果が現れるまでに数日かかることがあるため、症状が出始めたら早めに使用を開始することが大切です。
すべての症状が強い充全型の場合は、第2世代抗ヒスタミン薬と鼻噴霧用ステロイド薬の併用が効果的です。それぞれの薬剤が異なる作用機序※22で症状を軽減するため、相乗効果が期待できます。ただし、併用する場合は、それぞれの薬剤の用法・用量を守ることが重要です。
症状の重症度によっても選択する薬剤は異なります。軽度の症状であれば、経口第2世代抗ヒスタミン薬や鼻噴霧用抗ヒスタミン薬から始めるとよいでしょう。中等度から重度の症状の場合は、鼻噴霧用ステロイド薬や複数の薬剤の併用を検討します。症状が改善しない場合や、日常生活に支障をきたす場合は、医療機関を受診することをお勧めします。
| 症状 | おすすめのOTC医薬品 |
|---|---|
| くしゃみ・ 鼻水中心 |
第2世代抗ヒスタミン薬(経口) |
| 鼻づまり中心 | 第2世代抗ヒスタミン薬+血管収縮薬(経口配合剤)* 鼻噴霧用ステロイド薬(外用) |
| 全症状が強い | 第2世代抗ヒスタミン薬(経口)+血管収縮薬(経口配合剤)*+ 鼻噴霧用ステロイド薬(外用) |
* 15歳未満の小児、尿閉や前立腺肥大による排尿困難のある人、高血圧、心臓病、甲状腺機能障害、糖尿病、緑内障の人、かぜ薬、鎮咳去痰薬、鼻炎用内服薬などにより、不眠、めまい、脱力感、ふるえ、動悸を起したことがある人は服用しない。
非鎮静性第2世代抗ヒスタミン薬の推奨理由
アレルギー性鼻炎の治療において、非鎮静性※23の第2世代抗ヒスタミン薬が広く推奨されています。これらの薬剤は、第1世代抗ヒスタミン薬※24と比較して多くの利点を持っています。まず、眠気が少ないという特徴があります。第1世代抗ヒスタミン薬は中枢神経系※25に作用して強い眠気を引き起こすことがありますが、第2世代抗ヒスタミン薬は血液脳関門※26を通過しにくいため、中枢神経系への影響が少なく、日中の活動に支障をきたすことが少ないです。
また、第2世代抗ヒスタミン薬は1日1回の服用で効果が持続するものが多く、服薬アドヒアランス※27の向上につながります。第1世代抗ヒスタミン薬は効果持続時間が短く、1日に複数回の服用が必要なことが多いです。さらに、第2世代抗ヒスタミン薬は他の薬との相互作用※28が少ないという利点もあります。
第2世代抗ヒスタミン薬の中でも、フェキソフェナジン、ロラタジン、エピナスチンなどが一般的に使用されています。これらの薬剤は、効果や安全性のバランスが良好であり、多くのガイドラインで推奨されています。ただし、個人によって効果や副作用の現れ方には差があるため、自分に合った薬剤を見つけることが重要です。
非鎮静性第2世代抗ヒスタミン薬の主な利点
- ・眠気が少なく日中の活動に支障がない
- ・1日1回の服用で効果が持続
- ・他の薬との相互作用が少ない
- ・長期使用の安全性が確立されている
漢方薬による対策
アレルギー性鼻炎の治療選択肢として、漢方薬も考慮に値します。特に小青竜湯※29は水様性の鼻水やくしゃみを伴うアレルギー性鼻炎に効果的とされています。また、鼻づまりが主症状の場合は葛根湯加川芎辛夷※30が用いられることがあります。
これらの漢方薬は体質改善効果も期待できますが、効果の発現までには個人差があり、時間がかかることもあります。漢方薬の使用を検討する場合は、自己判断せず、医師や薬剤師に相談することをお勧めします。西洋医学的な治療と併用することで、より効果的な症状管理が可能になる場合もあります。
漢方薬の主な特徴
- ・体質改善効果が期待できる
- ・効果発現に時間がかかる(数週間から数ヶ月)
- ・副作用が比較的少ない
- ・個人の体質に合わせた選択が重要
※20 鼻づまりが主な症状のタイプ
※21 すべての症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまり)が現れるタイプ
※22 薬が効果を発揮する仕組み
※23 眠気を引き起こしにくい性質
※24 古いタイプの抗ヒスタミン薬で眠気などの副作用が多い
※25 脳と脊髄からなる神経系
※26 血液と脳の間にある物質の通過を制限する仕組み
※27 患者が処方された薬を指示通りに服用すること
※28 複数の薬を同時に使用した際に起こる影響
※29 水様性鼻汁やくしゃみに効果的な漢方薬
※30 鼻づまりに効果的な漢方薬
セルフケアのポイント
アレルギー性鼻炎の症状管理には、薬物療法だけでなく、日常生活でのセルフケアも重要です。まず、自分の症状の程度を正確に評価することが大切です。症状が軽度なのか、中等度なのか、重度なのかを把握することで、適切な対処法を選択することができます。症状の記録をつけることで、アレルゲンとの関連性や治療効果を確認することもできます。
アレルゲンの特定と回避も重要なポイントです。自分がどのようなアレルゲンに反応するのかを知ることで、効果的な回避策を講じることができます。医療機関でのアレルギー検査や、症状と環境の関連性を観察することで、アレルゲンを特定することができます。
室内環境の管理では、温度20-22℃、湿度60%を超えないように維持することが理想的です。この環境はダニやカビの繁殖を抑制し、鼻粘膜の健康を保つのに役立ちます。特定されたアレルゲンに対しては、前述のアレルゲン回避策を積極的に実践しましょう。空気清浄機は浮遊しているアレルゲンの除去に有効です。
適切なOTC医薬品の選択と使用も、セルフケアの重要な要素です。症状の種類や程度に合わせて、適切な薬剤を選択し、用法・用量を守って使用することが大切です。一度は医療機関を受診し、アレルギー性鼻炎の診断を受けることが望ましいです。効果が不十分な場合や副作用が気になる場合は、薬剤師や医師に相談することをお勧めします。
生活習慣の改善も、アレルギー性鼻炎の症状管理に役立ちます。十分な睡眠をとり、バランスの良い食事を心がけ、適度な運動を行うことで、全身の健康状態を向上させることができます。また、ストレス管理も重要です。ストレスはアレルギー症状を悪化させることがあるため、リラクゼーション法※31やストレス発散法を取り入れることも有効です。
運動によって鼻づまりが悪化する方は、以下の対策が効果的です。運動前に鼻腔を洗浄することで、アレルゲンや分泌物を除去し、症状を軽減できる場合があります。また、医師と相談の上、運動30分前に抗ヒスタミン薬や点鼻薬を使用する方法も効果的です。
特に寒冷環境での運動時は、マスクやネックウォーマーを着用し、吸い込む空気を温めることで鼻粘膜への刺激を減らすことができます。十分な水分補給と適切なウォームアップも、鼻づまりの予防に役立ちます。運動強度を徐々に上げていくことで、急激な症状悪化を防ぐことも可能です。
症状が重症化したり、長期化したりする場合は、医療機関を受診することをお勧めします。特に、OTC医薬品で十分な効果が得られない場合や、日常生活に支障をきたす場合は、専門医の診察を受けることが大切です。
セルフケアの重要ポイント
- ・症状の程度を自己評価する
- ・アレルゲンの特定と回避
- ・適切なOTC医薬品の選択と使用
- ・生活習慣の改善(十分な睡眠、ストレス管理)
- ・重症化や長期化する場合は医療機関を受診
※31 深呼吸、瞑想、ヨガなどでリラックス状態を促す方法