便秘の定義とメカニズム

便秘の定義とメカニズム

監修

幸田隆彦先生

幸田隆彦(こうだ たかひこ)先生

幸田クリニック(静岡県浜松市)院長
昭和大学医学部卒。2005年12月から現職。
日本消化器病学会専門医。日本消化器内視鏡学会専門医。

モットー:凡事徹底
便秘や下痢だけでなく、お腹のトラブル全般をきめ細かく診療・治療するべく日々奮闘中。

そもそも便秘とは、どのような状態をいうのでしょうか?なぜ、出なくなってしまうのでしょうか?日常的に起こるわりに、意外と知らない便秘のことをお話します。

何日、出ないと便秘なの?

「毎日お通じがないから、私は便秘」そんな風に思い込んでいませんか。
実は、何日出なかったら便秘という明確な定義はありません。「慢性便秘症診療ガイドライン2017」では“本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態”を便秘としています。毎日出ないことは問題ではないのです。たとえば3日に1回だとしてもスムーズに排便でき、スッキリ感があれば便秘ではありません。逆に毎日出ていても、残便感があってスッキリしない、お腹が張って違和感があるといった不快な自覚症状があるなら便秘と考えられます。
つまり便秘かどうかは、あなたのスッキリ感が基準といえるのです。


排便と便秘のメカニズム

私たちが食べた物は、どのように便となって排出されるのでしょうか。
口から肛門まで続く消化管は、約9mほどあるといわれています。この長い消化管で、まるでバトンリレーのように消化・吸収しながら排便というゴールをめざします。

口・食道
口に入った食べ物は咀嚼され、食道を通って胃へ。
胃液によってお粥状に消化されます。
小腸
お粥状のものから身体に必要な栄養素と水分を吸収し、残りかすを大腸へ。
大腸(直腸)
ドロドロの残りかすから、さらに水分を吸収して固形の便をつくりながら、ぜん動運動で大腸の終わりの直腸に運びます。直腸に届くと、腸壁が刺激されて便意に。
肛門
脳からの指令を受けて肛門から便が排出されます。

食べ物が便になって排出されるまでのタイムは約24時間〜72時間といわれています。それぞれの消化器官がベストなパフォーマンスを行うことでスムーズな排便につながります。
ところが大腸の動きが鈍ると、便の通る速度が通常より遅くなり、水分が吸収されすぎて硬くなってしまいます。そうして便が硬くなると、なおさら排出されにくくなり便秘を招くことに。逆に大腸の動きが活発すぎると、便の通過時間が速いため水分の吸収が不十分になり、軟便や下痢になる可能性があります。

[大腸で起こる便秘のしくみ] イメージ図

便秘にもタイプがあるの?

ひとことで便秘といっても症状や原因はさまざまで、便秘にもタイプがあります。
大きくは生活環境の変化によって一時的に起こる急性便秘と、生活習慣の乱れなどから腸の機能が低下し、日常的に不快感が続く慢性便秘。さらに慢性便秘は不快な自覚症状から4つのタイプに分けることができます。
急性便秘も慢性便秘も、激しい腹痛や発熱、血便などの症状がある場合は、病院での受診をおすすめします。

  • 一時的に起こる 急性便秘タイプ

    生活習慣が急に変化すると、自分では意識していなくても身体は少なからずストレスを感じることに。自律神経の乱れによって腸の働きが鈍り、一時的に便秘になることがあります。

  • 硬くて出ない 便カチカチタイプ

    便は排出されないと、大腸で水分の吸収が進み、ますます硬くなって出しづらくなります。そのため出そうと強くいきんでしまい、痛みを感じたり、肛門が出血したりして痔になることも。

  • 出てもモヤモヤ スッキリ不足タイプ

    排便しても、全部出し切れてなく、まだ残っているような感じがする人はこのタイプ。排便にも時間がかかってしまい、出ても便が細く、量も少ないので、スッキリ感がありません。

  • 便が停滞 お腹ポンポンタイプ

    腸が効率よく動かないと、便やガスがスムーズに腸の中を進まず、腸内のいたるところに停滞しやすくなり、いつもお腹にハリや膨満感があって苦しいと感じています。

  • 使いすぎて出ない 便秘薬だのみタイプ

    便秘のたびに刺激の強い便秘薬に頼って無理に出していると、腸が自力で動かなくなってしまうことに。そのため、なおさら強い便秘薬で強制的に腸を動かして出すという悪循環が起こります。