(1)薬の研究・開発

工場に隣接した研究所

成田研究所

成田研究所

製品づくりは、成田研究所での研究・開発に始まります。研究所は成田工場のすぐそばに位置する建物の中にあり、製品の処方設計や新製剤技術を開発する「製剤研究」と、製品の品質や安定性を評価するための試験法を設定し、評価する「分析研究」の2部門が連携して、日夜新しい製品づくりに取り組んでいます。研究員は机をワンフロアに集約し、すぐに議論や情報交換ができるようにしています。それぞれ専門のスキルをもった研究員同士が1つのプロジェクトで連携し討議することが、新しい製品づくりにはとても重要だからです。

私たちがお客様にご提供するのは「OTC医薬品」と呼ばれる、病院に行かなくても薬局薬店で購入できる医薬品です。医師の診断や処方箋がなくても手に入る分、安全性には十分に配慮して研究に研究を重ねたものだけを製品化します。留意しなければならないのが、ほとんどの製品が複数の有効成分でできていることです。新しい製品を開発するにあたってまず候補の有効成分を検討しますが、ひとつひとつが医薬品として公的な許可を得ていても、複数組み合わせた場合でも安全と言えるか、良好な品質を保てるか、効果は所定通り発揮されるか、といった検証を実施しなければなりません。また、実際に錠剤やカプセル剤の製品を服用した時、その有効成分がからだの必要な場所にどの程度到達するか、その吸収性などについても製品ごとにさまざまな角度から精密な評価を重ねています。

小さな工場で試行錯誤

研究所には、小規模工場と言っていいほどに薬の製造機械が揃っており、各研究員が頻繁に試作や実験に取り組んでいます。原料を混合する機械などは、隣接する工場では1200リットル以上の大型タイプ(人の背丈をはるかに超える大きさ)で稼働していますが、研究所内では成田工場の約100分の1程度のスケールから検討を開始します(研究段階により様々な大きさの機械を採用)。

この小さな工場で試行錯誤し、分析・評価を重ねた結果、やっと新しい医薬品の素材が誕生します。研究所にはこうして設計された処方と製法の医薬品の素材を、工場で大量に高品質の製品として安定して生産することができるようにする使命もあります。特色はなんといっても工場が目の前にあり、製造現場の担当者とすぐに情報交換できる点です。諸々の課題にも研究所と工場の担当者がすぐに集まり、何度も討議を重ねて製品化に向けて協力しています。