症状・疾患を知ろう

歯周病

歯周病は歯を失う原因にもなります。
毎日のブラッシングで歯周病を防ぎ、自分の歯を守りましょう。

歯周病の図版

歯周病とは

歯周病とは、歯の土台になっている歯周組織(歯ぐき)に炎症が起こり、徐々に破壊されていく病気の総称です。
歯周組織は、歯肉のほか、歯を支えている歯槽骨、歯根膜、セメント質などからなりますが、炎症が歯肉だけに限られているものを「歯肉炎」、歯槽骨や歯根膜にまで炎症が広がったものを「歯周炎」と呼んでいます。
歯周炎になると、歯槽骨のまわりに膿がたまり、漏れ出るようになるため、「歯槽膿漏」とも呼ばれています。
歯周病の原因とメカニズムを知り、悪くなる前に対策を始めましょう。

歯周病チェック

歯周病は、初期には痛みや出血などを伴うことが少なく、自覚症状のないまま進行しやすいので、要注意です。 下記は歯周病の主な症状です。当てはまるものがないかチェックしてみてください。

チェックシート

  • 朝起きたときなどに、口の中がネバネバする。
  • ブラッシング時に出血する。
  • 口臭が気になる、指摘された。
  • 歯肉がむずがゆい、痛い。
  • 歯肉が赤く腫れていたり、赤黒くなっている。
  • かたい物が噛みにくい。
  • 歯と歯の間に食べ物がはさまりやすい。
  • 歯が長くなったような気がする。
  • 歯ぐきを押すと血や膿が出る。
  • 歯がグラグラするようになった。

歯周病の原因とメカニズム

歯周病の原因とメカニズム図版

私たちの口の中には300~500種類もの細菌が住みついています。細菌のエサになる砂糖をとりすぎたり、ブラッシングが不十分だったりすると、歯垢(プラーク)が形成されます。
歯垢1mgの中には10億個もの細菌がいるといわれますから、歯垢はまさに細菌のかたまりです。その中には、毒素を出して歯周組織に炎症を引き起こす歯周病の原因菌がいることもわかっています。歯垢がバイオフィルム(細菌のすみか)を形成すると、この歯周病菌の増殖にさらに適した状況になります。

歯垢は粘着性が強く、軽くうがいをした程度では落ちません。適切なブラッシングで取り除かなければ、やがて硬くなり、歯石を形成して、歯の表面に強固に付着します。歯石になってしまうと、ブラッシングでも取り除くことができなくなります。この歯石がさらに細菌のすみかになり、毒素を出し続けて歯周病を進行させていきます。
健康な歯ぐきはピンク色でひきしまり、歯と歯肉の間の溝の深さは1~2mmとされていますが、歯周病が進行すると、歯周ポケットと呼ばれる深い溝ができ、さらに細菌が繁殖しやすくなります。

歯周病は、このように、細菌の持続的な感染によって引き起こされる炎症性疾患です。原因は歯垢ですが、歯ぎしりやくいしばり、合っていない義歯やブリッジ、また、喫煙、ストレス、不規則な食事などの生活習慣、糖尿病などの生活習慣病も歯周病を進行させる要因とされています。

歯周病対策

歯石にしない歯垢をつくらない

歯と歯肉の境目/歯と歯の間

歯周病の原因は歯垢ですから、歯垢をためないこと、歯垢が歯石になる前にとり除くことが対策の基本になります。
そのためには、正しいブラッシングを毎日行う、というあたりまえのことがとても大切です。 正しい歯磨き習慣は、歯周病予防はもちろん虫歯予防にもつながり、歯や口腔内の健康を保つうえで重要です。食後や就寝前に歯磨きをする習慣を身につけましょう。

デンタルペースト(歯磨き剤)は、殺菌効果や歯ぐきのひきしめ効果、歯石の形成を防ぐ効果などがある薬用歯みがき剤を選びましょう。
ブラッシングというと、歯の表面を歯垢のないツルツルの清潔な状態にすることだと思いがちですが、むしろ、歯ブラシの毛先を歯と歯肉の間の溝に当ててこまめに振動させるように磨き、歯垢をきれいにかき出すことがポイントです。また、食べものがはさまりやすい歯と歯の間は、歯間ブラシやデンタルフロスを使うのもおすすめです。

歯科医院では、歯周ポケットの深さを「4(mm)」「3.5(mm)」などと計測してくれますが、正しい歯磨きを毎日続けることで、歯ぐきがひきしまり、健康な状態に改善することも多いものです。まずは歯科医院で定期的に健診を受けましょう。歯石除去やクリーニングなど、プロフェッショナルケアを受けておけば、より万全です。